譲渡先が不利益になる情報は、包み隠さず話す

あとで発覚すれば、信頼を失うきっかけに

理想的な買い手との交渉がまとまり、基本合意に達した――。買い手探しを続けてきたオーナーがホッと胸をなで下ろす瞬間です。しかし、手放しで喜ぶわけにはいきません。この後に問題が出てきて、破談になることは、珍しくないからです。

その代表的な例が、「開示漏れ」です。
「未払いになっている給料があるのに、開示していなかった」「リベートがあるのに、『ない』と申告していた」「レセコンをリースで借りていることを伝えていなかった」……。基本合意の後のデューデリジェンス(店舗の監査)をした時に、これらの開示漏れが明らかになることがあります。

当然、譲渡価格の修正をおこなうことになりますが、それで済めば、御の字。「隠していたのではないか?」と買い手からの信頼を失い、最悪の場合、破談になることもあります。故意に隠したわけでなくても、買い手は疑いの眼差しを向けることでしょう。

そんな事態が起こらないよう、譲渡先が不利益を被るような情報は、交渉の初期段階で、包み隠さず話すことが大切です。

よくある「開示漏れ」の例

  • ・リベートがあるのに、「ない」と申告していた
  • ・機材がリースなのに「リースではない」と申告していた
  • ・ローンで購入した備品があることを伝えていなかった
  • ・「従業員と賃金トラブルで係争中」であることを隠していたい

アテック株式会社 取締役社長 鈴木 孝雄
「薬局オーナーのためのハッピー・M&A読本」より

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