薬局を長きに渡り存続させるためには、時代と共に新しい経営者に会社や事業を承継していかなければなりません。 ただ、最近の薬局業界は後継者がいないと悩むオーナーも少なく、止むを得ず廃業を選ぶケースも少なくありません。 後継者問題の背景を受けてM&A・事業承継で薬局を引き継いでもらうオーナーが増えていますが、どのように事業価値や企業経営が承継されるのでしょうか? 今回は事業・経営の承継の必要性や引き継ぐ方法についてご紹介していきます。

■企業経営における承継の必要性

人には寿命があるので永久的にオーナーを続けることはできないので、廃業を除くと他の誰かに株式や経営を承継してもらう必要があります。 非上場企業の場合、経営と所有を切り離しているケースを除いて外部の専門家に経営を委託するケースはわずかです。 不動産経営は外部の管理会社に運営を委託できますが、個人財産となる企業やお店を経営する場合はオーナー自ら行うことが一般的です。 それは株式を承継した後も同様であり、後継者も自ら経営しなければなりません。 ここで企業経営における承継の必要性を考えていきましょう。 ・事業価値の存続 後継者が企業経営を承継するにあたり、求められる認識は代が変わっても継続的に利益が生まれる事業価値を存続させることです。 企業オーナーは社会的な価値を創出する企業を経営しており、その中核となるのは付加価値を生んでいる商売の仕組み、すなわち経営力です。 中小企業は経営力に依存する傾向にあるので、オーナーは次期後継者に自分の経営力を引き継いでいく必要があります。 例えば、経営資源となっている高度な技術が組織全体で共有されている場合は、承継はスムーズに進むでしょう。 しかし、高度な技術の保有者がオーナー個人に限定されてしまうと、技術を承継した人物がいないと事業価値の存続は危うくなります。 オーナー個人の経営力に依存している場合は、早めに円滑に承継する仕組みや組織の構築、後継者の人材育成などの対応が必要です。 ・事業価値を存続させる仕組みと組織の構築 大企業に比べて人材が足りない傾向にある中小企業の場合、誰か1人に事業価値を承継することは非常に困難と言えます。 円滑に経営承継を行うためには、ワンマン経営から組織的な経営体制へ変えていくことが重要です。 個人が持っていた経営資源が組織全体で共有されれば、事業価値の消滅を防ぐことができます。 組織的な経営に以降する際は、意思決定を組織で行うシステムを整え、オーナー個人への依存を少なくする必要があります。 意思決定の権限は職務分掌を明らかにすることで委譲が可能であり、同時に意思決定の判断基準もはっきりさせていきましょう。 承継後は新体制や企業理念、経営方針を確立させ、全体に浸透させることも重要です。 ただ、組織経営の体制が整ったから準備万端というわけではありません。 経営管理能力は後続のオーナーの課題となるので、経営承継においては後継者の育成も事業価値の存続では重要な意味を持ちます。

■事業・経営を引き継ぐ後継者に求められるもの

後継者はオーナーとしての資質や能力が求められますが、他にも引き継ぐ決意や覚悟の気持ちも重要です。 他にもオーナーとして求められる能力や確立させておきたいことはたくさんあるので、具体的に必要となる要素を見ていきましょう。 ・リーダーシップ まず後継者が求められる能力は従業員を引っ張っていくリーダーシップです。 オーナーが変わることで従業員は今後の生活に影響が出ないか、新オーナーの経営手腕は問題ないのか、人間性はどうなのかなど様々な不安に駆られます。 不安を解消するためには、強いリーダーシップを発揮し安心感を与えていく方法が効果的です。 継承者は企業経営に対して熱い思いと将来の成長を実現する経営戦略を持ち、長きに渡って従業員に生活の安定性を保証することを示す必要があります。 ・取引先と良好な関係を持続させる力 薬局となれば製薬会社や処方箋を出してくる最寄りの病院などが取引先となります。 取引先との良好な関係があってこそ事業を展開できるので、関係を持続させる能力もオーナーには求められます。 承継する際は取引状況を把握し、円滑な営業計画の構築する力や人間関係を構築するための社交性・コミュニケーションスキルを身に付けておく必要があります。 ・金融機関と良好な関係を持続させる力 事業の継続と発展では資金繰りや設備資金の調達も重要であるため、長期的に成長するためには金融機関との関係性も大切です。 オーナーは後継者に金融機関との関係性も承継する必要があり、一方承継者は業界での経験と共に金融機関との財務に関する情報の開示や担当者と良好な人間関係作りに力を入れていきましょう。 ・自分で新しい経営理念を考える どの企業でも経営理念はあり、薬局もそれぞれの経営理念に基づき運営されています。 基本は創設者の考えや方針が反映されますが、承継する際は現オーナーの価値観や信条を踏まえた上で、新オーナーが自ら新しい経営理念を考えて確立させることも重要です。 事業用資産などの形のある経営資源が引き継がれたとしても、経営理念や経営戦略といったオーナーに属する形のない資産を存続できなければ本当の意味で事業承継が行われたとは判断できません。 現オーナーの経営理念を明らかにし、そこに後継者の価値観を加えて新時代を乗り切る経営資源の確立が問われます。 ・現時点での経営ノウハウ 後継者は現経営者が身に付けている経営ノウハウを取得しておかなければなりません。 必要な能力とは業務の知識や経験、人脈、リーダシップなどの能力が該当します。 ノウハウの承継は現経営者が自ら行っていく必要がありますが、後継者も積極的に身に付けていく気持ちややる気も必要でしょう。 ・新しい経営管理体制 事業承継が行われるタイミングでは、オーナーを補佐する幹部や古株社員も高齢化により、定年が近いと想定されます。 そうなると、次期後継者は自分を補佐するための幹部社員や従業員候補を探し出す必要があります。 役員や従業員も世代交代となるので、後継者が主体となって新しい経営管理体制を築いていきましょう。

■薬局のM&A、取引相場はどう変遷している?

ここまで薬局のM&A・事業承継において、その必要性や後継者に求められるものなどをご紹介してきました。 では、実際にM&Aの取引相場は現在どのような形になっているのでしょう? ここでは薬局のM&Aで取引相場がどのように変遷しているのか解説していきます。 調剤薬局は財務内容もスリムで初期投資に掛かるコストも比較的少ないと言われています。 そんな調剤薬局でM&Aを行う場合は、あらかじめ調剤薬局の収益を買い手企業のやり方に則ってシミュレーションし、収益計算を行わなくてはなりません。 シミュレーションを行う際に必要なCF(将来キャッシュフロー)の計算では、以前まで取引相場を3〜10年という幅を持たせて計算していたのですが、現在はたった3年前後という短い幅で計算しなくてはいけない状態になってしまいました。 なぜこのようなことになってしまったかというと、2018年に実施された改定の際に、診療報酬改定が2年に1回から1年に1回へと変わったことが影響しています。 こうした背景もあり、取引相場は変遷していったのです。

■薬局のM&A・事業承継を実施するタイミングとやり方

取引相場は変遷し、3年前後という短い期間の中で将来キャッシュフローを算出しなくてはいけない状況になっています。 ただ、だからと言って薬局のM&Aや事業承継の需要が少なくなったわけではありません。 ここからは実際に薬局のM&A・事業承継を実施する場合に適したタイミングややり方についてご紹介していきましょう。 【実施するタイミングは?】 まず、薬局のM&A・事業承継を実施するタイミングですが、現在調剤薬局を経営しているオーナーは全国平均で60歳前後であると言われています。 60歳では「あと5〜10年したら経営から退いて事業承継をしたい」と考えている方も多いのではないでしょうか? ただ、後継者にする人物が決まっていないのであれば、それなりの時間が必要となってくるでしょう。 実施するタイミングは決して早ければ良いというものではありませんが、後継者探しや経営者としての育成、M&Aなら買い手企業探しを行わなくてはいけません。 M&A・事業承継を検討するなら早めに情報収集などから始めておくと良いでしょう。 具体的なタイミングですが、アンケートで中小企業の事業承継に関して「ちょうどいい時期に事業承継できた」と感じている人の平均年齢は40代という結果が出ています。 もちろん、一般的な中小企業も含まれているため調剤薬局とは少し事情なども異なりますが、早めに対策を講じておいた方が良さそうです。 【事業承継のやり方】 事業承継にもいくつか種類があります。 一つは現経営者の親族へ事業を承継する「親族内承継」、従業員が事業を承継する「従業員承継」、そして第三者に事業を承継する「M&A」です。 それぞれ特徴を持っており、どの承継方法が一番適しているのかというのは調剤薬局によっても異なります。 ・親族内承継 親族内承継は現経営者の子どもや親戚、娘婿などへ事業を承継するもので、親族への事業承継を検討されているオーナーは多いです。 それは、やはり現経営者に近い人物が承継することで病院の医師といった関係者から理解が得やすいことが理由として挙げられます。 さらに、親族内承継は経営者という地位だけでなく、株式もそのまま引き継いでもらえるため、株式所有と経営が分かれにくくなります。 ただし、親族と言っても全員が現経営者と同様に経営に長けているわけではありません。 親族の中には後継者になることを拒む人や経営者になることを望んでいても経営に適していない人がいるので、注意する必要があるでしょう。 また、何人も後継者候補がいてその中から1人選ぶと、選ばれなかった親族との間に亀裂が入ってしまう可能性もあります。 ・従業員承継 従業員承継は現在働いている人の中から後継者になる人物を探す方法です。 親族の中で経営に適した人物が見つからなかった場合、従業員承継を検討するケースが多く見られます。 調剤薬局と言ってもそれぞれの薬局で仕事のやり方や経営のやり方など、多少の違いが存在します。 しかし、従業員承継なら働いていて仕事のやり方は分かっているので引き継ぎやすくなります。 また、仕事が分かっているということはその分後継者教育の際に教えることは少なくなるので、スムーズに行けば比較的短期間で事業承継を行えるでしょう。 メリットが多い一方で、事業承継の際に株式を所有するために多額の資金が必要になってしまいます。 そのため、ある程度資金力のある人でないといくらやる気があっても事業承継はうまくいきません。 また、会社の借入金に対して個人補償を担ってもらわなくてはならない点もデメリットとなるでしょう。 ・M&A 親族と従業員で後継者を探したが見つからないという場合は、第三者への事業承継を検討してみましょう。 M&Aでは新しいノウハウが入ってくることにより、周辺地域への事業拡大が期待できます。 自分は引退しても自身の調剤薬局は大きくなってほしいと考えるなら、M&Aは最適です。 また、M&Aによって創業者利益をある程度確保することもできます。 もちろん、調剤薬局の経営状態や買い手企業との交渉にもよりますが、資金力が不足しがちな従業員承継に比べると利益を得やすくなるでしょう。 さらに廃業を阻止できるので廃業コストが掛からないという点も魅力の1つです。

■薬局のM&A・事業承継の相談はアテックへ

薬局のM&Aや事業承継はスムーズに行く場合もあれば、買い手企業や適した後継者がなかなか現れず、廃業に追い込まれてしまう場合も存在します。 廃業になってしまうと解雇補償などが発生してしまい、余計に金銭的な負担が大きくなって将来自分のために使えるお金が少なくなってしまうでしょう。 薬局のM&Aや事業承継を確実に成功させるためには、サポートしてくれる企業に相談してみましょう。 中でもおすすめなのは、日本初の調剤薬局M&A専門会社である「アテック」です。 アテックは1991年創業当時から調剤薬局のM&Aを専門に事業を展開してきた企業です。 大手企業から中堅のチェーン企業までM&A実績も豊富にあります。 また、薬局を経営したいと考えている方と、薬局を売りたいと考えているオーナーをマッチングさせる「ファーママーケット」の運営も実施しています。 もし薬局のM&Aや事業承継に悩んだり、検討しているが何から始めれば良いのか分からないという方はアテックへ相談してみましょう。 実績豊富なアテックが相談料無料で対応してくれます。