今、調剤薬局では、これまでとは違ったサービスを提供するところも出てきました。そのほとんどが大企業によるもので、体力の低い中小規模の調剤薬局は厳しい状況に置かれています。調剤薬局業界は従来通りの経営では、将来存続が難しい可能性が高いです。 そこで注目されているのがM&Aや事業承継で、調剤薬局業界では増加が続いています。業界再編により、調剤薬局業界の未来はどう変わるのでしょうか?今回は現在の状況や将来の動き、今後のM&A・事業継承の動向などについてご紹介します。

■調剤薬局業界は現在どのような状況に置かれている?

調剤薬局は様々な問題・課題に直面し、市場は熟成化している状態です。どのようや問題や課題があるのか、まずは調剤薬局業界の現状から把握していきましょう。 ・医薬分業が広まったことでの熟成化 元々、病院では診療と調剤の両方を行ってきましたが、明治時代からドイツの医療制度が輸入され、医業分業という考えが伝わりました。医業分業とは病院で調剤するのではなく、外来患者の処方箋を病院外の薬局で調剤することです。その割合を医業分業率と呼び、現在は7割を越えています。 割合の高さから日本では医薬分業の考え方が広まり、主流になっていることが分かります。しかし、同時に医療分業の成熟化も意味しており、市場は伸び悩む状態となっているのです。 熟成化した市場では一般的に上位企業による業界再編が行われ、小規模の事業者の約8割が集約されます。そのため、調剤薬局業界でも業界再編がますます進んでいくと考えられるでしょう。 ・調剤薬局の増加による競争の激化 市場が熟成化している背景には、調剤薬局が増えていることも関係しています。どこにでもあるコンビニの数は全国で約5万5000店です。一方、薬局はそれを上回る、約5万8000店もあると言われ、小規模の薬局がひしめいています。 薬局数のうち大企業の割合は3.5%、上位企業10社は18.7%と低く、残りの約7割は個人薬局となります。マーケットリーダーの位置に立つ企業がいない市場ですが、企業体力のある大手チェーンの出店が増加しています。同時に医薬品卸やドラッグストアなどの業界も調剤事業に力を入れているのです。 他にも、業界再編により商社やスーパーといった異業種からの参入も広まり、今後も調剤薬局は様々な形で増えていくでしょう。年間1000件のペースでM&Aが行われていると言われているため、寡占化が進んでいく可能性があります。 ・調剤報酬の見直しによる収益が減る可能性 調剤薬局の収入源となっているのは調剤報酬です。調剤報酬は2年ごとに見直されており、直近では2018年に改正されて調剤報酬が減額しました。1ヶ月に処方箋を4万枚または40万枚以上も受けている調剤チェーンは技術料が大幅に下げられ、調剤薬局の収益に大きなダメージを与えています。 2019年10月からは消費税が増加しています。さらに、2021年からは毎年薬価の改正が行われる予定です。そうなると技術料に限らず、薬価差益も減っていく可能性があり、収益の減額で経営環境も一層厳しくなると想像できるでしょう。 ・薬剤師や後継者が足りていない さらに調剤薬局を悩ませているのが、薬剤師や後継者の不足です。調剤薬局のオーナーや薬剤師は高齢化が進み、さらに薬学部が6年制になったことからリタイアや進学する人が減り、人材の確保が難しくなっています。大手チェーンでは積極的に採用を行っているので、採用費や教育費も高騰化している現状です。 中堅や中小規模が成長するためには、人材の確保が重要となります。しかし、それが難しい現状なので、調剤薬局にとって薬剤師や事業を引き継いでくれる人がいない状態は死活問題と言えるでしょう。

■「従来通りの経営」ではダメになる可能性も

調剤薬局業界は全体的に見て厳しさを増しており、従来通りの経営が通用しなくなる可能性が高いです。従来通りの経営から脱却しなければならない理由を解説していきます。 ・独自のサービスの提供で生き残る調剤薬局の増加 業界再編が進んだことで、大企業の参入や調剤薬局事業の強化が進んでいます。それにより、今の調剤薬局ではこれまでになかった新しいサービスが続々と登場しました。例えば、独自の生命保険の開発や医薬品の郵送など、企業体力のある大企業だからこそできるサービスが提供されています。 従来は、病院との距離で他社との差別化する立地依存のビジネスモデルでした。しかし、今後は新サービスで他社と差別化するビジネスモデルに転換される可能性があります。実際、大手企業では積極的なM&Aにより収益力を強化し、新サービスの開発を進めているところが多いです。 業界再編によって、今までとは違った患者の獲得に向けた競争が増えると考えられ、従来通りの経営では勝てない可能性があります。 ・調剤報酬の見直しで中小・個人規模の薬局M&Aがプラスに 2018年に集中率が85%以上、処方箋の応需が月4万枚・40万枚以上の場合、調剤報酬の基本料が低くなる85ルールが設けられました。その影響から大手チェーンの2018年度四半期決算は前年と比べて大きくて8割の減額になっていました。 調剤報酬の見直しで大手チェーンの収益力が制限され、好条件の買収提示が減ったことからM&A市場は中堅規模の地場調剤チェーンに移行する動きがみられました。そのため、以前と比べて地域に根付いた中小・個人規模のM&Aの方が、良い条件を出せるようになっています。 今まで、M&Aや事業承継は経営にトラブルが生じた時の解決手段として活用されていました。しかし、新サービスで差別化を図る調剤薬局が増えている背景から、調剤薬局事業だけでは生き残れないと考えるオーナーが増えています。調剤報酬以外に他の収入源を獲得するために、異業種とのM&Aを検討の相談も相次いでいるのです。 例えば、高齢化社会に進んでいることから介護事業も需要があり、訪問介護などを行う企業に買収してもらい、包括的なサービスを地域に提供できる企業にするのも良いでしょう。他にも健康食品の販売会社と連携して収益を増やすといった方法も選択できます。調剤薬局を存続させるためには従来の保険依存型から脱却し、他社と差別化が図れる特長を持つことが重要になっていくと言えるでしょう。

■調剤薬局業界の将来に向けた動き

調剤薬局の最大手である日本調剤は、2030年に向けた長期のビジョンを策定しています。これまでも日本調剤では3ヶ年の中期経営計画を策定していましたが、医療業界や医薬品業界が大きく変化しているため、長期的なスパンでビジョンを策定する必要が出てきたのです。医療業界や医薬品業界が変化している背景には、75歳以上の後期高齢者と呼ばれる人がさらに増えるということがあります。 医療費はさらに増加していき、今よりも良質な医療サービスが求められると考えられるでしょう。調剤薬局業界も、医療業界や医薬品業界の変化に伴って、変わっていかなければいけない状況にあります。 そのため、2015年10月に「患者のための薬局ビジョン」が厚生労働省から発表されました。「患者のための薬局ビジョン」では、どのような薬剤師や薬局が必要になるのか明確に示されています。そして、2016年4月に調剤報酬改定が行われ、「患者のための薬局ビジョン」を実現するために調剤報酬改定が進められるようになりました。 また、調剤薬局業界における制度も目まぐるしく変わっています。今後もさらに多くの改革が進められていくと考えられているため、調剤薬局業界は今以上に変化することでしょう。 現在重点的に行われているのは、健康サポート薬局の増設です。健康サポート薬局は、地域に暮らす人が主体的に健康づくりを行えるように積極的に支援する薬局のことを指します。 2018年3月30日の時点で健康サポート薬局は全国で879件となっているため、まだまだ足りないのが現状です。しかし、調剤薬局のチェーンも健康サポート薬局に向けた取り組みをするようになっているため、数が増えていくと予想されます。 薬局のシステム自体はどんどん変化していますが、薬局が持つ本来の機能は今後も変わらないはずです。時代の流れにあったニーズに応えられるようなシステムを取り入れながら、地域に密着した薬局や薬剤師が増えていくことで、高齢化社会において安心して暮らせる環境が整うと期待されています。

■調剤薬局M&A・事業承継の増加は今後も続く

近年、大手企業や上場企業は積極的にM&Aを行うようになってきました。日本調剤が発表した「2030年に向けた長期ビジョン」では、日本調剤のみでシェアを10%、売上は1兆円を目指すとしているため、規模の拡大は必須だと言えるでしょう。日本調剤の場合は他の事業を行うわけではないことから、調剤薬局という本業のみに集中する本業加速型の成長を望んでいると分かります。 しかし、M&Aに対する姿勢はこれまでと比べてみるとかなり変わっています。大手企業や準大手企業がM&Aを行う場合、調剤報酬の基本料や地域支援体制加算が取れなくなってしまう可能性が高くなっているのです。そのため、1店舗だけM&Aをするのでは収益を得ることが難しくなってしまうと考えられています。 それだけではなく、報酬改定がさらに行われると1店舗の収益はさらに下がってしまう可能性があり、下がった分の収益を取り返すことも難しくなってしまうでしょう。そのような状況があるため、調剤薬局業界では複数店舗のM&Aを視野に入れるケースが増えています。 複数店舗を保有していれば、技術料が落ち込んでしまった場合でも下がった分の収益を取り返しやすくなります。調剤薬局M&Aや事業承継が増えている背景には、そのような要因も含まれているのでしょう。 調剤薬局業界は、業界再編がかなり進んでいます。調剤薬局M&Aを行おうとしている企業は、業界再編による変化に商機をにらんでいるのです。まだまだ日本ではM&Aを行うことに対する理解は深まっていません。 それでも調剤薬局業界の発展には欠かせないことでもあるため、参入する企業の質に注意しておけばメリットが大きいと言えます。調剤薬局M&Aについて疑問点がある場合は、専門家に相談してみるのも良いでしょう。 調剤薬局業界は、今後さらに変化を遂げると考えられています。なぜなら、2019年10月に薬価の改定が行われ、消費税も増税されたためです。また、次回の報酬改定に向けた議論もスタートしています。 将来的にどのような変化を遂げるのか見据えられる調剤薬局が多くなればなるほど、調剤薬局M&Aや事業承継はさらに増えていくでしょう。

■将来に向けた調剤薬局M&A・事業承継の相談はアテックへ

調剤薬局M&Aや事業承継は、今後増えていくことが予想されますが、専門的な知識がないと上手く進められないでしょう。調剤薬局M&Aや事業承継を検討しているのであれば、サポート役となる仲介業者をしっかりと選ばなければいけないのです。 サポートしてくれる仲介業者はいくつもありますが、数ある業者の中でも調剤薬局のM&A専門会社であるアテックがおすすめです。アテックは、日本で初めて調剤薬局のM&A専門会社として設立した会社なので、歴史や実績も確かな会社です。 アテックが設立されたのはM&Aがまだまだ普及していなかった1991年です。アテック自体はそこまで大きな会社ではないため、不安に感じてしまう人もいるかもしれません。しかし、これまでに700件以上の案件を扱ってきたため、確かな実績もあります。 アテックが手掛けてきた案件の中には、売上高が1億円くらいの調剤薬局もありますが、個人経営の調剤薬局もあるため、幅広い条件に対応できるスキルを持つM&A専門会社だと言えるでしょう。M&Aを行うことによって、薬局自体の雰囲気が変わってしまうのではと懸念するオーナーもいます。場合によってはそのようなケースもあるかもしれませんが、アテックの場合は現オーナーの希望を大切にしたM&Aを行うため、不安に感じる必要はありません。 またアテックでは、薬局を譲渡したいと考えているオーナーとM&Aしたい人をつなげるマッチングサイト・ファーママーケットの運営もしています。ファーママーケットには、売却希望や購入希望のチェックができるため、自分自身が希望する薬局のM&Aを進められるようになっています。 調剤薬局業界は目まぐるしく変化していて、その変化に対応していかなければいけません。M&Aを行うケースも増えているので、M&Aを検討してみても良いでしょう。M&Aには専門的な知識が必要になるため、アテックが提供しているファーママーケットなどを利用しながら、納得できるM&Aを進めていってください。