調剤薬局の後継者人材を採用するための方法とは?

病院と薬局の完全分業が国側から指示された1997年以降、調剤薬局はどんどん増えていきました。それから約22年の月日が経過し、そろそろ後継者を探して育成に努めたら引退したいと検討されているオーナーもいらっしゃることでしょう。

そこで今回は、調剤薬局の後継者人材を採用するための方法についてご紹介していきます。どんなポイントを見て後継者人材を採用すべきなのか、そもそも後継者探しのために薬剤師を採用することはアリなのか、など気になるポイントを詳しく解説していきましょう。これから後継者探しをしたいと考えている調剤薬局オーナーはぜひ参考にしてみてください。

そもそも後継者探しのために薬剤師を採用するのはアリなのか?

調剤薬局の後継者というと、例えば自分の子どもを後継者にして業務の承継を行ったり、あるいは自身の調剤薬局で長く働いている管理薬剤師もしくは薬剤師に対して行われるものとイメージされる方も多いのではないでしょうか?今まで働いていたスタッフを差し置いて、新たに後継者の薬剤師を採用することに罪悪感を感じる方もいるかもしれません。しかし、ハローワークなどの求人を見てみると、後継者候補としての薬剤師求人はいくつも見られます。

また、既に調剤薬局のオーナーとして活躍されている方の中には、実際に自分自身が後継者候補として入局し、店舗を譲渡されたという方もいらっしゃるのです。ですから、調剤薬局の後継者候補を新たに採用することは決して悪いことではありません。

ただ、後継者人材を採用してもそこで終わりではなく、育成を含めて本当に任せられるのか見極めていく必要もあります。スタッフに悪いと考えているオーナーの方もいらっしゃるかと思いますが、実際には薬剤師で働いている方でもオーナーになりたいと考えている方と、そうでない方がいます。

調剤薬局のオーナーはやる気だけあっても難しく、業務と経営を並行して行わなくてはなりません。そのため、もしスタッフの中にやる気がある人材がいても簡単に後継者として選べないことをしっかりと説明すれば、納得してもらえるはずです。むしろ、そこからそのスタッフが経営面を勉強したり、経験を積んだりして後継者人材に相応しいと感じれば、後継者人材の新たな採用は止めて、そのスタッフを後継者人材として育成すればいいのです。

後継者不足で人材は本当に見つかるのか?

もし、調剤薬局で働いているスタッフの中に後継者候補が見つからず、後継者を新たに採用したいと考えた時、本当に人材が見つかるのか不安に感じている方も多いでしょう。実際に、現在調剤薬局業界では後継者問題が起きています。

これまで事業承継というのは調剤薬局業界に限らず、多くの店舗・企業で子どもまたは親族に対し行われることが多く見られました。ただ、子どもや親族に経営能力がなかったり、特に子どもには自分の好きなように将来を決めてほしいと考えたりすることから、子どもや親族が希望しない限り事業承継が行われることは減ってきています。さらに、働いているスタッフでも後継者となるスタッフが株式を買い取らなくてはいけないため、大金が必要になることから後継者の立候補が少なくなっているのです。

後継者問題につながっている問題点として、制作による薬価の削減が要因になっています。国の施策によって薬価差益が縮小されたり診療報酬が抑制されたりと、医療費削減に伴って調剤薬局の収益が減ってしまっています。

こういった背景も受けて後継者問題を加速させているのです。

では、全く後継者人材はいなくなってしまったのでしょうか?実は後継者人材が全くいなくなったわけではありません。実際に、薬局M&Aではなく個人に対して事業承継を行ったケースはいくつも存在します。

後継者問題が加速する中で後継者人材がいなくならないのは、薬剤師のキャリアアップが要因として考えられます。薬剤師は働いている場所・企業によって働き方が変わってきますが、調剤薬局でキャリアアップを果たすには管理薬剤師になる必要があります。管理薬剤師として勤務できるようになれば、従業員の監督や医療品などの管理を行うことができます。

ただ、管理薬剤師からキャリアアップを目指すというのは難しいものです。そこからキャリアアップを果たすなら、やはり薬局経営へとつながっていきます。

このようなことから、調剤薬局で働いている薬剤師がキャリアアップを目指し、自分で薬局を経営したいという思いがあることで後継者人材はいなくならないのです。後継者人材として立候補される多くの方は、自分で薬局を経営したい、キャリアアップを果たしたいという思いがあるので、やる気のある人材が多く見られます。

後継者人材を探す前にやっておきたいこと

後継者人材を探す前に、経営面のことでいくつかやっておきたいことがあります。どんなことをやっておくと後継者採用になってからスムーズに事業承継が行えるようになるのでしょう?

・経営ビジョンや経営者としての思い、経営方針を明確にしておく

調剤薬局を経営するにあたり、自身でビジョンを思い描いていたり、経営方針を示していたりしているかと思います。これは調剤薬局のみならず、どんな店舗・企業においても重要なことです。これが明確になっていないと、経営の軸がブレてしまいます。

後継者人材を採用する場合も、経営ビジョンや経営者としての思い、経営方針をしっかりと引き継いでもらうためには、あらかじめ明確にしておかなくてはなりません。今一度自身の調剤薬局経営に対する思いを明らかにしておきましょう。

・現時点での経営課題や経営戦略を明確にしておく

経営方針を示し、将来的なビジョンに向かっていくためには、調剤薬局が現時点で抱えている経営課題をクリアしていかなくてはなりません。経営課題が残され、戦略もないままだと後継者側から断られてしまう可能性もあるでしょう。そのため、経営課題や経営戦略を明確にしておくことが後継者人材を探す前にやっておくべきだと言えます。

経営課題を把握するためには、まず調剤薬局を取り巻いている状況を分析する必要があります。例えば、経営資源(資産やキャッシュフロー、従業員の現状)や、経営リスク(負債や競合他社に対する競争力)、自分自身の資産状況、後継者人材に対して求めていること(経営者としての能力や適正、年齢、経歴、意欲など)、株式保有状況や相続財産の特定など、相続が発生する場合に起こり得る問題点などが挙げられます。こうした状況を把握し分析することで、どんな人物を後継者として採用すべきなのかも分かってくるでしょう。

これらをあらかじめ決めてから事業承継を行う具体的な時期を検討したり、スムーズな事業承継に向けて課題を整理したりすることができ、後継者人材も探しやすくなります。また、これらを基に中・長期間の経営戦略や課題の解決策などを含めた事業承継計画を作成しておくと良いでしょう。

後継者人材を採用する際の流れとポイント

どのような流れで後継者人材を採用すれば良いのでしょうか?また、どういったポイントで後継者人材を採用すべきなのでしょう?続いては後継者人材を採用する際の流れとポイントについてご紹介します。

【後継者人材を採用する際の流れ】

後継者人材を採用する際に、まず行うべきことは求める後継者の人物像や給料などの待遇面といった、募集要項の決定です。上記で紹介したように、後継者人材を探す前にやっておきたいこと2点を行っておくと、求める後継者の人物像が明確になりやすいです。

また、給料などの待遇面は他のスタッフや他の求人案件も参考に決めておきましょう。さらに、後継者人材を探すためには媒体によってコストが変わってきます。どれほどの予算が必要なのか検討しておくことも忘れないようにしてください。

予算と掲載する媒体が決まったら応募を開始します。応募を出す時の注意点ですが、まず労働条件や業務内容はできるだけ詳しく記載し、後継者候補の応募であることも記載しておきましょう。

応募する方は最初その応募情報に書かれた情報だけで申し込みしたいかどうかを決めます。ですから、情報は全てありのままを書くようにしてください。

多くの人材に集まってもらうよう過大な内容を書いてしまうと、働き始めてから条件が違っていたと知るとすぐに辞めてしまう可能性も考えられ、長続きしません。その分の時間がムダになってしまうので注意しましょう。

また、募集・採用にあたり男女どちらかに限定した募集は原則禁止されています。オーナーからしてみれば男性の方がいい、女性の方がいいと考える方はいらっしゃるかもしれませんが、そういった内容で求人を出してしまうと、男女差別で問題になってしまいます。

そもそも、調剤薬局の経営に必要なことは男女の性別ではなく、経営のスキルや薬剤師としての経験、そして後継者としてのやる気です。性別は調剤薬局を経営する上で特に問題にはならない部分なので、男女差別にあたるような内容の記載は止めましょう。

募集を行う媒体によっては人材の質が違ってきます。例えばフリーペーパーなどの求人雑誌は誰でも手にできることから比較的多くの応募が来やすくなります。ただ、その一方で誰でも応募できるということから人材の質は低くなりやすいと言われています。

また、インターネットの求人サイトに掲載する場合は質にバラつきが起きやすいですが、比較的若い人からの応募が増える傾向にあります。ハローワークなどの公的機関になると、比較的年齢層が高めの方の募集が多く見られるでしょう。一概に、全てそうだとは言えませんが、媒体によって若干人材の年齢層や質が変わってくることを知っておくと良いでしょう。

【採用する際のポイント】

では、応募が来た時どんな人材を採用するべきなのでしょうか?採用する際に見ておきたいポイントを解説しましょう。

・健康的であること

調剤薬局の経営は自身でも経験されてきたように、ハードな部分もあります。場合によっては睡眠時間を削らなくてはいけない時もあるでしょう。

さらに、経営者としてのプレッシャーが襲ってくるため、精神的な強さが必要になってきます。そのため、心身共に健康的な人材を見つけた方が良いでしょう。

・後継者としての自覚を持っていること

後継者候補の応募になるので、基本的には自覚を持っている方がほとんどかと思います。しかし、中には後継者は単純に給料や待遇が良いので応募したという方がいらっしゃいます。そういった方の場合、後継者としての自覚を持っていないことがあるので注意しなくてはなりません。

自覚を持っていなくても良いのでは?と思われる方もいるかもしれませんが、自覚していないと経営者ならではのハードな業務についていけなくなってしまう可能性があります。そのため、面接の際に「後継者になるためにはこんな業務を行う必要がある」、「通常業務に加え経営に関する研修を行わなくてはならないため、他の薬剤師よりもハードになる」、「事業承継には時間がかかるのですぐに経営者になれるわけではない」などを伝えておくと良いでしょう。

・自分からコミュニケーションを築けること

ビジネスにとって必要不可欠になってくることは、“コミュニケーション”です。これは調剤薬局であっても変わりありません。従業員とのコミュニケーションはもちろんのこと、近隣病院の医師と連携を図らなくてはならないこともありますし、取引先の医療品業者ともコミュニケーションは必要です。事業を成功させるためには人とのつながりがとても大切になってくるので、コミュニケーション能力を持っている方を採用した方が良いでしょう。

後継者探しに迷ったらアテック・ファーママーケットを活用

これまで調剤薬局の後継者人材を採用するための方法についてご紹介してきました。後継者探しをすることはかなり長い時間をかけて行う必要があり、大きな労力もかかってしまいます。

しかし、理想的な後継者人材を探すためには時間と労力を惜しまずに掛けていかなくてはならないのです。ただ、少しでも後継者探しにかかる時間や労力の負担を軽減できるサービスがあります。

調剤薬局の事業承継をサポートするアテックでは、ファーママーケットというサイトを運営しています。ファーママーケットは後継者を探しているオーナーと、開業を考えている薬剤師のマッチングサイトです。

希望事項を入力すればそれにマッチした薬剤師からの応募があるかもしれません。ファーママーケットを利用すれば、媒体選びにかかる時間を削減できると言えるでしょう。

また、アテックは1991年の創業当時から調剤薬局の事業承継サポートを実施したり、経営支援サービスなども行っているので、相談しやすい企業です。事業承継や後継者人材探しに悩んでいる方は、ぜひアテックやファーママーケットを活用してみましょう。