調剤薬局の後継者探しをする際の注意点

調剤薬局でもいずれは後継者探しに直面します。

自分の子どもや従業員などから継承する人物がいれば問題ありませんが、後継者がいない場合は探すか、廃業の道を選択せざるを得ません。

後継者が決まっていない場合、いつから探し始めれば良いのでしょうか?

また、探す上での注意点を確認することも大事です。今回は調剤薬局の現状や後継者探しのタイミング、探す際の注意点をご紹介しましょう。

調剤薬局業界の現状は厳しい

調剤薬局業界は薬剤師の不足が問題となっており、その影響で廃業を選択する薬局が増えています。

また、同時に廃業ではなく、薬局M&Aを選択する人も増加しました。

その上、薬価や調剤報酬の改正などもあり、慌ただしく動いている業界です。

厚生労働省によると平成29年度の調剤利用費は約7.6兆円で、今後も売上が伸びていくと予想されています。

調剤薬局数は平成29年度で約6万店もあり、前年から460店も増えています。

かなり早いペースで増加していることが分かるでしょう。

店舗が増える要因は医療分業率の上昇にあります。

平成9年の医療分業率は26%ですが、平成27年には70%まで上昇しました。

医師は診療、薬は薬剤師という役割分担という考えが浸透している結果、調剤薬局の数が激増しているわけです。

しかし、この業界は現状では厳しいと言われています。

【小規模の事業者が割合を占めている】

調剤薬局は大手だけではなく、個人経営や小規模のチェーン店が存在します。

厚生労働省の実態調査によれば、実は個人や小規模の調剤薬局は大手よりも割合を多く占めています。

同経営者・事業者は営む店舗割合で最も多いのは2〜9店未満で36.2%でした。

一方、大手は500店以上が多いものの、割合はたったの6.4%です。

市場動向を見ても、大手調剤薬局はシェアを伸ばせていないことが分かります。

【市場が縮小する可能性がある】

調剤利用費を見る限り、市場規模は維持されている印象がありますが、将来的に市場が縮小すると予想されています。

その理由は利益が少ないこと、そして医療分業率が停滞するところにあります。

厚生労働省の「第21回医療経済実態調査(平成29年度)」によると、利益は調剤薬局チェーンの方が多いと判明しました。

1店舗だけの調剤薬局の場合、利益額は571万円となっています。

その一方、20店舗以上となると約2,666万円の利益を上げています。

この報告から、小規模の調剤薬局は大手に比べて利益が少ないと言えます。

では、中規模や大手企業は安定というわけではありません。

薬価・調剤報酬の改定の影響を受け、中規模や大手企業でも利益が下がる可能性があります。

医薬分業率は以前よりも増加していますが、近年は大きな上昇が見られず停滞状態と言えます。

これがどういう意味を指すのかいうと、新規で出店する数が少なくなっていることを指します。

この背景から大手企業は報酬を維持する目的でM&Aを積極的に行い、かかりつけ薬局に切り替わっているようです。

【調剤薬局業界が抱える課題や問題点】

調剤薬局業界の動向を見てみると、様々な課題や問題点が浮き彫りとなっています。

まず、薬価の改定や調剤報酬の引き下げにより、利益が減ってしまう可能性があります。

特に個人薬局は大手に比べて資金が乏しいので、薬剤師の雇用や確保が難しいでしょう。

安定した経営を維持するためには、地域住民に対するケアも必要です。

また、経営者の高齢化が進んでいる点も課題と言えます。

後継者探しの選択肢や大手が報酬を維持させる目的でM&Aが増えていますが、売却数が増えることで譲渡価格が下がる可能性も考えられるでしょう。

ドラックストアやスーパーなども参入しているので、競争はより激戦化すると予想されます。

これらの課題・問題点を見ても、調剤薬局業界の現状は厳しい傾向にあることが分かります。

後継者探しはいつから始めるべき?

調剤薬局業界の課題・問題点にも挙げましたが、経営者の高齢化が進んでいます。

しかし、後継者探しが思うようにできないと悩む人は多いようです。

なぜ後継者探しができないのかというと、経営者は日々多忙を極めているからです。

事業経営を手放すことが難しい立場なので、経営者探しに本腰を入れることが難しいのです。

また、時間的に余裕がないという問題もあります。

では、いつ頃から経営者探しを始めるとベストなのでしょうか?

ある産学共同研究によると、中小企業経営者が経営者について検討している割合は7割を超えていると報告しています。

「常に考えている」という人が40%、「たまに考えている」という人が31%となっていました。

後継者探しを意識した年齢に対する回答で最も多いのは50代で、45%の割合を占めていました。

その次が40代で割合は29%となっています。

逆に後継者が必要となる60代は14%と一気に少なくなっています。

この統計から40代から50代で後継者探しを始める人が多いようです。

ただ、これはあくまでも一般論でしかありません。

実際、事業承継に至るまでには後継者の抽出と選定、後継者への説明や説得、承継前に候補者を育成するといったプロセスを踏まなければなりません。

事業承継までのプロセスは短期間で済ませられるものではないと言えます。

また、事業が衰退期を迎えたり、経営者に健康問題が生じたりするリスクもあるでしょう。

長い道のりを強いられるので、後継者探しはできるだけ早く始めて整えておくことが理想的です。

後継者探しをする際の注意点

事業の後継者に承継する際は、早い段階で後継育成を備えておかなければなりません。

誰に事業継承させるかによって手法内容も変わってきます。

ここで、後継者探しを行う時のポイントや注意点などを解説していきましょう。

【薬局運営の基本的な契約内容】

・土地建物賃貸借契約

・リース契約

・従業員雇用契約

・金銭消費貸借契約

・保守契約

・警備保障契約

・御基本契約

・生命保険

・火災保険

・薬剤師賠償保険

・電話、インターネット関連契約

・顧問契約

・ライセンス契約

・フランチャイズ契約

・ファクタリング契約

・コンサルタント契約

この中には特殊な契約もありますが、基本的には薬局事業を譲渡する際はこのような契約内容が扱われることになるでしょう。

【契約は個人・法人、事業譲渡・株式譲渡で異なる】

薬局を買収する際は以上の契約を交わしますが、買収する主体が法人・個人によって基本的な契約が変わってきます。

法人の場合は、基本的に必要な契約をそのまま引き継ぐケースが多いのですが、個人の場合は信用面が劣るため契約の際に保証人を求められる状況が多いでしょう。

これによって後継契約できないバイアもあるので注意してください。

また、譲渡方法も事業・株式によって異なります。

・事業譲渡の場合

後継者が事業の場合は、契約の中で薬局に関係するものだけを名義変更します。

反対に薬局事業に関係ない契約内容については、売手側に処理してもらうことになるでしょう。

よく分からない契約がないか、引き継がれて困るものがないか、きちんと確認する必要があります。

確認するポイントは、薬局事業に関わる契約内容をあげることとその契約内容がきちんと引き継げるかどうかです。

・株式譲渡の場合

基本的にはほとんどの契約がそのまま引き継ぎます。

場合によっては契約主からお断りされるケースもありますが、事業譲渡のように薬局事業以外の契約も引き継ぐことになるでしょう。

手続きはそれほど難しくはありませんが、後継者にとってはリスクになる場合もあります。

例えば高額すぎる家賃や保守料、ファクタリングなどです。

事業譲渡と同様に薬局事業に関わる契約は何か、契約を引き継げるかどうかの確認以外に、会社として締結している契約もチェックするようにしましょう。

不要な契約は引き継がないという選択肢も当然必要になります。

契約内容の詳細をきちんと確認することも大切なポイントです。

【親族に譲渡以外の方法も検討しておく】

親族への事業承継は従業員からの理解が得やすい方法ですが、近年は後継者不足や親族間での争い事に発展する可能性があり、別の譲渡を検討しておくことが大切です。

親族以外の第三者に事業承継する場合は、経営者が事業を売却して利益を得られるというメリットがあります。

昨今は後継者不足の事態ではありますが、経営状態が良好な運営事業を継続させるための回避方法として選択することができるでしょう。

雇用継続に関しても見込まれるため、経営者・従業員双方にメリットがある方法と言えます。

しかし、経営者が希望する条件をそのまま快諾して事業を承継してくれるとは限りません。

一部の事業や特定の事業のみ承継するケースも少なくないため、この場合はマッチングサービスを上手く利用して広範囲に働きかけるようにしましょう。

【後継者の能力を見極め、育成する】

事業承継において大切なのは、後継者にある程度の能力が必要だということです。親族への事業承継でありがちなのは「経営者としてのスキルが足りない」というケースが非常に多いです。

これは親族であるという理由だけで事業承継に踏み切った証拠とも言えるでしょう。

では、後継者に必要なスキルとは何なのでしょうか?

・実務スキル

実務スキルとは、業務を行う上での営業力や提案力、事務的な能力などを言います。

もちろん事業内容に関する能力や知識もこの中に含まれます。

実務スキルを高めるには複数の部署業務を自社内で経験させること、あるいは実務スキルのある経験者から育成をしてもらうことが有効になるでしょう。

・経営スキル

経営スキルとは会社のキャッシュフローを読み解く能力や資金繰りを調整する能力などのことです。

実務スキルがあっても経営スキルが伴わなければ、経営者として成り立ちません。

事前に後継者のスキルを把握し、必要に応じて外部の教育機関などを利用した育成指導を受けてもらうようにしましょう。

・リーダーシップ性

実務スキルや経営スキルは指導・教育によってある程度補えるものです。

しかし、リーダーシップは努力して得るものではなくある程度人格に備わっている要素と言えます。

従業員や取引先を引きつけるにはリーダーシップは欠かせないものです。

後継者を選ぶ際は、ある程度人望の熱い人材に目をつけるようにしましょう。

調剤薬局の後継者探しに便利なサービス

事業承継は現在の経営状況や将来の展望を把握した上で検討する必要があります。

後継者を選ぶ際には、利害関係が絡んでくる親族や現在の従業員といった身近な人たちではなく、客観的な立場である第三者の意見を取り入れるのが賢明です。

また、相談期間やコンサルタントを利用して事業にとってメリットのある事業承継を提案してもらう方法も効果的です。

経験豊富な相談相手は複数の事業承継パターンを熟知しているので、より公平性の高い後継者選びを提案してもらうことができます。

事業承継は信頼できる相談相手でなければ成立しません。

相談相手は今後の事業を左右する中心人物となるので、冷静かつある程度将来の見通しが立てられる相手を選ぶようにしてください。

調剤薬局の後継者探しに便利なサービス

薬局事業を譲渡しようと検討されている方の中には「後継者をどうやって探せばよいのか分からない」という人も多いのではないでしょうか?

事業承継には大きく分けて3種類の方法がありますが、それぞれ課題があります。

最もポピュラーと言われている親族への承継は相続紛争や経営者としての自覚や能力が不足しているケースが多いようです。

一方、親族以外の承継になると関係者の理解が得られるまで相当な時間がかかることでしょう。

しかし、最近は薬局専門で事業承継を行うサービスが利用されるようになってきました。

後継者の選定や紹介をはじめ、後継者との顔合わせ、合意書の作成、契約書の締結・開示まで行います。

メリットの大きい事業承継方法を取り入れているアテック株式会社ではそんなメリットの大きい事業承継方法を取り入れたファーママーケットを行っています。

ファーママーケットとは調剤薬局を譲渡したい経営者と独立を検討している薬剤師または薬局買収を希望する経営者のマッチングを行うサービスです。

1991年に創業したアテック株式会社は調剤薬局のM&A仲介事業として誰も取り組んでいない事業を始めて日本に導入しました。

公平な立場で薬局経営者の理想をできるだけ実現させるために、あらゆる努力を惜しみません

多数の後継候補者が登録しているため、理想の後継者とマッチングできる可能性も高いです。

調剤薬局業界を熟知しているので、経営者に対して迅速な問題解決と今後の戦略を提案できるノウハウも持っています。

双方に最適なマッチングが行えるようコンサルタントするので、安心して後継者にバトンタッチすることができます。

調剤薬局を譲渡する際は的確な後継者を選定するだけでなく、譲渡先と条件交渉をしたり、合意書の作成、調剤薬局の鑑査、契約書を締結したりと様々な取引が生じます。

譲渡後は患者様の信頼を失わないようこれまでのスタイルを一転させないよう努力しなければなりません。

アテックが取り組んでいるサービスは事業承継を円滑に行うための有効な支援サービスと言えるでしょう。