ドラッグストア業界は、コンビニやネット通販事業など参入によって生じる価格競争の激化による大きな影響を受けています。それに伴い、他社との差別化を図るために調剤薬局としての役割を付加したり、M&Aを行ったりするなど様々な工夫を凝らしているのです。今後も生き残っていくためには、さらなる工夫が必要になることでしょう。

今回は、ドラッグストア業界の特徴や変遷、調剤薬局業界の市場環境の今後、調剤薬局にこれからの時代求められることなどを解説していきます。また、2022年は薬局M&Aにとってどのような時期なのかも解説していくので、検討している方はぜひチェックしてみてください。

ドラッグストア業界の特徴や変遷について

まずは、ドラッグストア業界の特徴や変遷を解説していきます。

ドラッグストア業界の特徴



ドラッグストア業界は、元々医薬品の取り扱いが収益の柱となっていました。しかし現在は、薬機法によって取り扱い方法が規定されるようになり、ドラッグストア業界にも影響を及ぼすことになりました。薬機法は医療や福祉の制作で改正される法律で、改正の内容によってドラッグストアの収益構造には大きな影響を与える要因となっています。

ドラッグストアの業績は、立地や商圏に依存することも大きな特徴です。そのため、特定の地域に大量に出店するドミナント戦略を取り入れるケースも珍しくありません。ドミナント戦略で成功すると、商圏の隙間を埋めることにつながり、商圏内のシェアを向上できるためです。

店舗の数が増えると、仕入れ先との交渉力も高まります。交渉力の向上は、仕入れ単価などを抑えられるなど有利な条件を享受する要因にもなります。大規模企業が母体となるドラッグストアでは、プライベートブランド(通称:PB)の開発や提供もできるため、粗利の向上も狙えるのです。

ドラッグストア業界の変遷



2009年6月に薬機法が改正されて医薬品販売の規制緩和が進んだことで、医師からの処方箋が必要ない一般用医薬品を登録販売者が販売できるようになりました。2013年12月の改正では、医薬品を販売するためのルールが大きく変更され、第一類医薬品と第二類医薬品をインターネットで販売することが認められています。このような規制緩和により、従来のように医薬品の販売によって利益を確保することが難しい状況に陥ってしまったのです。

一方、2017年1月以降は一般用医薬品の中でドラッグストアでも販売できるように転用された医薬品・スイッチOTC医薬品を一定金額以上(1年間で1万2,000円以上)購入すると、税制優遇が受けられるという制度も生まれました。これは、セルフメディケーション税制とも呼ばれています。まだまだ認知度が低い制度なので、周知活動の実施が大きな課題となっています。

ドラッグストア業界が抱える今後の課題



ドラッグストア業界がこれからも伸びていくためには、改善を目指すべき課題があります。それが、前述したように認知度が低いままとなっているセルフメディケーションの促進、薬剤師の確保、得意分野の創出です。

セルフメディケーションを促進するためには、いわゆる“買い物弱者”と呼ばれている方への対応が重要だと考えられています。セルフメディケーション制度の存在を知ってもらうことが何よりも重要です。

また、薬剤師不足に関しては厚生労働省などの発表によると、2020年7月の段階で医師や薬剤師の有効求人倍率が2.24倍となっていることから、人材の確保が難しい状態にあるとわかるでしょう。医師も含まれていますが、この数字は非常に高いものです。ドラッグストアはレジ打ちなどの併任が求められるというイメージが強いため、就職先として敬遠する方が多いのが原因だと考えられます。

得意分野の創出は、中期的または長期的な戦略を見据えた時に重要になる課題です。食品、調剤、化粧品のいずれかに特化して得意分野を強化していくことがポイントになります。市場を展開しているエリアではどの分野を特化すべきなのか慎重に判断しなければいけません。

調剤薬局業界の市場環境はどうなっている?

ドラッグストアが得意分野を創出する際に、調剤業務を強化するケースは多く見られます。その場合、ドラッグストア内に調剤薬局を設置します。調剤薬局は需要がありますが、市場環境の現状を知らないと後悔する可能性があるため、どのようになっているのか確認しておきましょう。

消費者について



従来は、医療機関で医師や薬剤師から薬を受け取る院内処方が一般的でした。現在でもそのようなやり方を取り入れている医療機関もありますが、医薬分業の取り組みによって院外処方が増加傾向となっています。

厚生労働省では医師と薬剤師がそれぞれの専門分野で業務を分け、医療の質を向上させることを目的とした「医薬分業」を推進しています。また、高齢化も院外処方の増加の後押しになっているのです。その結果、院外処方の採用によって調剤薬局は市場規模を拡大しています。

仕入れについて



近年、ジェネリック(後発医薬品)の普及が促進されています。ジェネリックは、先発医薬品の特許が終了した後、安全性などを加味して厚生労働大臣が製造・販売の承認を行った医薬品です。開発費用が抑えられるため、薬価も低くなっています。厚生労働省では、国民医療費を抑制するための一環としてジェネリックの推進を行い、上備体制が整っている調剤薬局には後発医薬品調剤体制加算と呼ばれる報酬加算を適用しています。

調剤薬局にこれから求められることは?

調剤薬局がこれからも生き残るためには、ニーズを理解したサービスを提供しなければいけません。続いては、調剤薬局にこれから求められることはいったい何なのか、解説していきます。

在宅医療や地域ケアサービスと連携を進める



日本は、高齢化が非常に深刻な状況になっています。そのような状況下で在宅医療の推進は喫緊の課題だと言えるでしょう。今までの調剤薬局は、窓口で薬を受け取るのが当たり前でしたが、それが難しい状況となる高齢者に焦点を当てた在宅医療体制の完備は生き残るためにも重要です。

地域によっては、ケアワーカーや看護師が在宅生活を送る方の薬剤管理を行っているケースもあります。訪問薬剤管理指導を行っている調剤薬局は2割にも満たないと言われていることから、薬局が持つ価値は活かしきれていないのです。今後は行政や病院、介護サービスとの連携をより強固なものにし、在宅医療に調剤薬局が携われるようにしていくことが必要です。

セルフメディケーションの拠点となる



日本薬剤師会でも、セルフメディケーションの重要性が謳われています。地域住民にとって調剤薬局は、最も身近な医療提供施設です。そのため、医薬品や栄養補助食品の提供だけではなく、保健・健康管理に関する商品を提供し、日常的な健康管理・健康増進にも携われる存在なのです。

これまでは処方箋を受け取って薬を渡すことが役割でした。しかしこれからは、かかりつけ薬局としてより頼られる存在になることが重要になっていきます。それを実現するには、セルフメディケーションを推進する拠点になることがポイントです。

薬剤師の成長を支えられるような体制を整える



地域住民から信頼してもらうためには、薬剤師が持つスキルや知識は大切になります。健康維持や病気の予防に関する知識があれば、コミュニケーションも取りやすくなるでしょう。コミュニケーションはサービス業や接客業と共通するスキルが必要になるので、それを加味した薬剤師の教育が必要です。

また、選んでもらえる薬局であり続けるためには、専門的な教育だけではなく地域に貢献できる取り組みができる人材を育成することもポイントだと言えるでしょう。従来の当たり前だと考えられていた教育の他に、これからの時代を生き抜くための必要な教育を理解し、新しい体制を整えていくことは調剤薬局が生き残るための秘訣にもなり得ます。

ICT化を進める



少子高齢化によって、薬剤師を含む労働力も確保が難しい状況になりつつあります。労働人口が右肩下がりになっている事実は変えようがありません。つまり、その状況に適応できるか否かが将来を左右するポイントになるのです。

そのような中で、調剤薬局がICT化を進めることは重要になります。少人数で高品質な仕事を提供するためには、オンラインサービスやアプリの導入が欠かせない要素となるのです。高齢化が進めば進むほど、健康相談や服薬指導など地域住民との関わりがより重要になっていきます。

そのためにも、ICT化を進めることは調剤薬局のオーナーにとって大きな課題だと言えるでしょう。

2022年は従来のやり方から変えるためのベストなタイミング?

調剤薬局は、ICT化の促進やかかりつけ薬局への変化など、多くの課題を抱えています。それらの課題を解決し、経営を安定させるためにM&Aを検討するケースも増えているのです。

実は、調剤薬局のM&Aは2022年がベストなタイミングだと言われています。なぜ2022年がM&Aのベストなタイミングなのかご紹介します。

コロナショック後にIT化が加速した



新型コロナウイルス感染症の影響により、医療崩壊が叫ばれるようになっています。以前よりも各種議論が活発化し、オンライン診療も本格化しています。医療業界に限った話ではなく、飲食や教育でもオンラインを活用したサービスが台頭し、当たり前だと思っていたことが大きな変化を遂げているのです。

調剤薬局業界も例外ではなく、ITを活用したサービスの提供が求められています。世の中の変化に対応し、新たなシステムを導入できるかどうかが分かれ目になると言っても過言ではありません。それができなければ、地域住民が寄せる期待にも応えられなくなっていく可能性が高いです。

そのような状況で、IT化に強い企業などとM&Aをするのは大きなメリットになります。自分たちの力だけでは難しいことでもM&Aの買収先が持つ知識やノウハウによって実現できる可能性が高まります。従って、2022年は従来のやり方から変えるためのベストなタイミングだと言えるのです。

経営効率化と変化に対する対応が調剤薬局業界の課題となっている



調剤報酬の改定により、少しずつ是正されていますがまだまだ大手企業が有利なコスト構造であることに変わりはありません。調剤薬局から販売する薬の価格は一律ですが、仕入れ値は異なります。大量購入できる大手企業の方が、仕入れ価格を下げ、管理部門などの一元化による低コスト化も実現しやすくなっているのです。

規模が小さい調剤薬局がそれに太刀打ちするためには、効率化が必要不可欠となります。上手く適応できれば問題ありませんが、時間が立つと規模が小さい調剤薬局は不利になりやすいです。経営が厳しくなって廃業が目前に迫る可能性もあるので、M&Aで今のうちに対応力を高めておくことは今後のためにも必要だと言えます。

調剤薬局大手グループによるM&A活発化している



調剤薬局業界では、大手グループのM&Aが活発化しています。今後もさらに大手薬局による買収は進んでいくと考察できます。大手グループは店舗数を増やしたいと思っているけれど、調剤薬局が飽和状態になっているエリアはそこまで多くありません。

既に薬局があるエリアに出店した場合、顧客の奪い合いになってしまいます。それでは地域医療の貢献ができているとは言えないため、地域住民から愛されている調剤薬局を招き入れ、店舗数を増やすという試みを行っているのです。買い手のM&A意欲が高い時期でもあるので、2022年はベストなタイミングだと考えられるでしょう。

調剤薬局やドラッグストアのM&Aはアテックにお任せを!

調剤薬局は、ドラッグストア業界にも足を踏み入れています。大手ドラッグストアチェーンが店舗内に調剤薬局を取り入れたことが始まりだと考えられます。その背景には、ドラッグストア業界や調剤薬局業界の大きな変化がありました。

今後もさらなる変化を遂げると想定されており、M&Aを今のうちにしておこうと考えるケースも見られています。将来に備えたM&Aを実行したいのであれば、調剤薬局のM&A専門仲介会社として多くの実績を残してきたアテックまでお気軽にご相談ください。

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