調剤薬局を含むM&Aを行う際、買収先や投資先となる企業が持つ価値やリスクに関する調査を実施します。その調査は、“デューデリジェンス”と呼ばれています。デューデリジェンスには様々な手法がありますが、適切な方法を選択しないとM&Aや投資が失敗に終わってしまう可能性もあるでしょう。

今回は、調剤薬局M&Aにおいても重要なデューデリジェンスについてご紹介します。デューデリジェンスが一体どのような調査なのか、必要性などを解説していくので、調剤薬局M&Aを考えている方はぜひ参考にしてみてください。

■そもそもデューデリジェンスとは?

デューデリジェンスという言葉は、聞き馴染みがない方も多いでしょう。そこでまずは、デューデリジェンスとは何か、なぜ行うのかを解説していきます。

・デューデリジェンスについて

デューデリジェンスは、買収監査や企業調査と呼ばれる場合もあります。M&Aを行う際、買い手となる企業が買収対象となる企業もしくは事業の調査を実施し、価値やリスクを明らかにするための調査です。「デューデリ」や「DD」と省略して使われる場合もあります。

・実施する目的

デューデリジェンスを実施する目的は、買取対象となる企業・事業のリスクを把握すること、経営統合の準備を行うことです。M&Aを行う場合、企業価値だけではなく、買収後にリスクを背負わないようにするために調査が必要不可欠となります。また、経営統合を円滑に進めるため、過去の財務情報や今後の事業計画なども調査・分析する必要があります。

■デューデリジェンスには複数の手法がある!

デューデリジェンスのやり方は一つではありません。複数の種類があるので、適したものを選択することが大切です。適したものを選択するには、それぞれの特徴を把握しておく必要があります。

・ビジネスデューデリジェンス

ビジネスデューデリジェンスは、現状と将来性を評価する指標になります。買収対象となる企業が行う事業活動に関する調査です。市場の評価やポジションをチェックし、外部環境と内部環境の分析などを実施します。

M&Aによる経営統合をした後は、今まで以上に広い視野で企業計画を考えなければいけません。ビジネスデューデリジェンスは、適切に起業計画を考えるためにも重要な役割を担っています。

M&Aでは、買取対象となる調剤薬局と経営統合した後、どれほどのシナジー効果が得られるかということもポイントです。ビジネスデューデリジェンスを行うことで、シナジー効果を見通すこともできます。将来を見据えるために実施することから、経営コンサルティング会社に依頼して調査をするといったパターンもあります。

・税務デューデリジェンス

税務デューデリジェンスは、税務コンプライアンスの観点で欠かせない調査です。税務状況に関する調査を実施します。具体的には、法人税などの税金を正しく申告しているか、組織政変税制の取り扱いや税務処理などに問題はないか、などを調べます。

M&A後に税務申告漏れや税務処理に関する問題が判明すると、買い手側がペナルティを背負わなければいけません。追徴課税によって損失が生じる可能性があります。それは、買い手側にとって大きなリスクになります。

リスクを回避するため、買取対象となる調剤薬局が持っている税務リスクを把握することが税務デューデリジェンスの役割です。

・法務デューデリジェンス

法務デューデリジェンスは、統合した後の法的なリスクを評価する指標になります。企業の法律や法務面に関する調査を実施することが法務デューデリジェンスです。どのような契約を結んでいるか、取引事業に関する権利はどうなっているか、債権・債務状況はどうなっているか、など調査の範囲は多岐にわたります。

もし買取対象となる調剤薬局が法的なリスクを抱えていた場合、M&Aで統合した後に訴訟などが起こらないように細心の注意を払わなければいけません。訴訟費用などが発生すると、経営にネガティブな影響を与えてしまいます。そのようなリスクを回避するために、法務デューデリジェンスが行われるのです。

法務デューデリジェンスは、リーガルチェックと呼ばれる場合もあります。法律に関する知識が必要となるため、弁護士に依頼することが一般的です。

・財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスは、財政的なリスクを評価する指標として活用されます。買取対象となる調剤薬局の財務状況に関する調査を実施します。過去と現在の財政状況や今後の見通しなどに関して調べます。

財務デューデリジェンスを実施する際、買取対象となる調剤薬局から財務関連の書類が開示されます。しかしこれは、あくまでも帳簿上の数字です。そのため、帳簿外負債などが明らかにならないので、デューデリジェンスが必要です。

財務諸表を作成したり、財務状況を把握したりするには、専門的な知識が必要になります。監査法人や公認会計士、税理士事務所などに依頼し、調査を実施するケースが一般的となっています。

・ITデューデリジェンス

ITデューデリジェンスは、システムの運用状況を確認するために行われる調査です。導入しているIT関連ツールやシステムに関して調査を実施します。双方で使用しているITシステムが大幅に異なる場合、経営統合した後に見直しをしなければいけません。

統合してからシステムの違いに気が付いた場合、見直すためにコストや時間を要します。そうなることを防ぐためにも、ITデューデリジェンスが重要な役割を担います。統合してから発生するであろう課題の発見や見直しをあらかじめ行っておけば、コストや時間を削減できるためです。

・人事デューデリジェンス

人事デューデリジェンスは、統合した後の労使問題を防ぐために実施されている調査です。買取対象となる調剤薬局の人材や人事に関するシステムに関する調査を行います。具体的には、労務管理や給与規定、人事制度、人材配置・構成・能力など、人事関連の情報を網羅的に調べます。

調剤薬局などのM&Aでシナジー効果を得るには、人材のマネジメントが必要不可欠です。合併や統合をすることによって生まれる人事上のメリットやリスクを把握し、準備を整えるためにも人事デューデリジェンスは欠かせないものとなっています。

・その他の手法

デューデリジェンスには、これ以外にも種類があります。例えば、環境・知的財産・不動産・顧客・技術などです。それぞれの調査内容が異なるため、必要な調査はどれか考えてから行うようにしてください。

デューデリジェンスには、様々な手法があります。それぞれの役割を知り、適切な選択をすることがポイントです。また、それぞれのデューデリジェンスはつながりもあるため、総合的な評価も必要となります。

■調剤薬局M&Aを行う際のデューデリジェンスの手順

デューデリジェンスを正しく行うためには、手順を踏んで進めなければいけません。正しい手順を踏めば、性格で効率的な調査につながります。続いては、調剤薬局M&Aを行う際のデューデリジェンスの手順についてみていきましょう。

・事前準備を行う

M&Aを行うには、事前準備が必要です。買取対象となる調剤薬局から登記簿謄本や事業計画書などの初期情報を受け取ります。これらの情報を受け取った後に、キックオフミーティングを実施するのが一般的です。

M&Aの実施が正式に決まったら、デューデリジェンスを行うか決めます。買取対象となる調剤薬局の特徴などを見極めてからどの手法を採用するのか決めるようにしましょう。調査対象となるのは何か、という点も手法を決める際に重要です。

・調査を行う

買い手側が決めたデューデリジェンスの手法や方針に基づき、調査が行われます。買い手側は、知りたい情報を買取対象となる調剤薬局に伝え、資料を用意してもらいます。実施する前に、秘密保持契約書を締結することも忘れてはいけないポイントです。

資料や情報の受け渡しをスムーズに行うためには、事前準備の段階でデューデリジェンスに必要な資料をリスト化しておくことがおすすめです。リストしておけば、いざという時に焦らずに済みます。また、弁護士や税理士など外部の専門家に依頼することも検討してみてください。

・報告や検討を行う

買取対象となる調剤薬局から情報が開示されたら、資料をチェックします。そして、価値やリスクを明らかにするための分析を行います。資料の内容が不十分だと判断される場合は、追加で資料を依頼する可能性もあるので、抜かりなく準備しておくことが重要です。

担当者や外部の専門家が調査結果を作成します。調査結果を鑑み、調剤薬局M&Aを本当に実施するか検討するフェーズへと入っていきます。費用面で影響が大きいと考えられるリスクが見つかった時は、買取対象となる調剤薬局に対する価格交渉も可能です。

デューデリジェンスは、このような流れで実施されます。検討している場合は、正しい流れで実施することが重要になるので、念頭に置いておきましょう。

■デューデリジェンスはなぜ必要?

デューデリジェンスは、これまでにも説明したように起業の価値やリスクなどを把握するために実施されています。M&Aでは、基本合意書を締結した後、最終的な譲渡契約書を締結する前に実施されるのが一般的です。調査の内容によっては専門的な知識が必要なので、弁護士や監査法人、公認会計士、税理士事務所など依頼して行うようにしましょう。

中には、手数料などのコスト面ばかり重視し、自分たちの力で完結させようとするケースもあります。100%できないというわけではありませんが、専門家を入れずに行うと後からトラブルに発展してしまうリスクがあるので要注意です。トラブルが起こってからでは遅いので、お金がかかっても専門家に依頼するのは得策だと言えます。

デューデリジェンスを疎かにせずに行うと、買取対象となる調剤薬局の将来性や妥当性などを判断しやすくなります。調査結果によっては、基本合意の内容を修正することになるといったケースもあるのです。また、買収スキームの変更、M&A自体の再検討などを行う場合もあります。

デューデリジェンスを実施すると、買収してからの事業計画立てやすくなることも、ポイントとして挙げられます。買い手側が抱える不安を解消したり、満足度を高めたりすることにもつながるでしょう。買い手と売り手がお互いに納得できるM&Aを実現するためにも、デューデリジェンスを行う意義は大きいと言えます。

■デューデリジェンスを行う際の注意点

デューデリジェンスを行うのであれば、注意点も把握しておく必要があります。最後に、どのような注意点があるのかみていきましょう。

・買収額に見合う規模や費用で行う

買収額に対して調査費用が低いと、調査が不十分になってしまい、リスクを負う可能性が高くなります。調査費用が高いと、M&Aが本当に必要なのかという疑問が生まれます。リスクを負ったり、無駄な買収を行ったりしないためには、買収額に見合う規模や費用で行うことがポイントです。

・調剤薬局M&Aの専門会社に依頼する

自社に専門家がいないと、正しいM&Aを実現するのは難しくなります。社内に専門的な知識を持つ社員がいない場合は、調剤薬局M&Aの専門会社に依頼するようにしましょう。専門会社に依頼すれば、これまでの経験や培ってきたノウハウを活かしながら、適切な提案をしてくれます。

デューデリジェンスには、専門的な知識が必要になるため、専門家への依頼はメリットが大きいです。専門家に相談すれば、買収額に見合う規模や費用がどのくらいかも判断しやすくなります。そして結果的に、理想の調剤薬局M&Aを実現しやすくなるのです。

■調剤薬局M&Aに関する相談はアテックへ!

調剤薬局M&Aにも、専門的な知識が必要になります。効率的にすすめるためには、アテックへの相談がおすすめです。アテックは、1991年に創業してから多くの実績を残してきました。

多くの調剤薬局M&Aをサポートしてきたアテックでは、中立かつ公正な立場で薬局オーナーの理想を実現しています。さらに、スピーディに問題を解決できるノウハウを有している会社でもあります。

そんなアテックは、ファーママーケットというマッチングサイトの運営も行っているのです。ファーママーケットは、調剤薬局を売却と思っているオーナーと買収を考えている薬剤師・企業を結び付けるためのサポートを行っています。それぞれのニーズに合わせたM&Aを実現しやすくなるので、利用する価値は大いにあります。

調剤薬局M&Aを前向きに考えているのであれば、ぜひアテックまでご相談ください。
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