薬剤師として働いている方の中には、今後自分の薬局を開業したいと思っている方はどれくらいいるでしょうか?調剤薬局は、人々の健康な暮らしを支えていくことができる場所であり、新規事業立ち上げや独立したいと目標を掲げている方もたくさんいます。

そこで、今回は調剤薬局を開業・独立までの流れや必要な資金などをご紹介します。調剤薬局を開業するまでにどのような手続きが必要なのか、詳しく見ていきましょう。

■調剤薬局新規開業までの流れ



調剤薬局を新規開業するには、事前に厚生局・保健所などへの許認可申請が必要です。そのため、開業することが決まったなら、開業日から逆算してスケジュールを調整していかなければなりません。では、開業までの詳しい流れについて解説します。

・開業コンセプトの決定



どのような薬局にしていきたいのか、経営の基本方針やコンセプトを決めていきます。そのコンセプトに基づいて経営戦略を構築し、開業に必要な手続きを進めていくことになります。

・候補物件の情報収集・診療圏調査



開業したい地域・物件などの情報収集をします。周辺環境から将来性があるのかどうかも確認しましょう。最寄りとなる医療機関や、周辺の競合となり得る調剤薬局の有無なども確認します。

・事業計画策定・金融機関への融資等相談



事業計画は、新規開業後の収入を予測したり、金融機関からの融資を受けたりする際に必要なものです。同時に、金融機関に融資の相談も行います。

・近隣の病医院等へ挨拶



事業計画が完成した時点で、近隣の病医院へ調剤薬局開設に伴う挨拶に伺うのがマナーです。特に、面識のないクリニックや医療機関からの処方箋を受けようと考えている場合は、早めに挨拶を済ませましょう。

・薬局の設計・業者選定と内装の計画



どんな薬局にしたいのか、コンセプトに基づいて物件の設計・内装決めを行います。施工業者の選定、建築・内装工事契約書の確認、工事スケジュール等も確認します。

・薬局開設許可申請書の提出



薬局開設許可申請書の必要事項を記入し、保健所に提出します。申請書類は、市区町村の保健所のHPよりダウンロード可能です。薬局の正確な平面図や求積表などを添付しなければならないため、事前に建築・内装工事を依頼した業者に依頼しておくとスムーズです。

また、麻薬に関する許認可は地域体制加算の指定要件となっています。そのため、薬局開設許可申請書の提出と同時に、保健所に麻薬小売業者の申請も行いましょう。

・調剤機器の確保・医薬品調達



調剤薬局経営に欠かせない各種調剤機器や備品、消耗品などを購入します。薬局の規模や近隣の病医院などの状況に合わせて調剤機器や電子薬歴などを検討するのがおすすめです。また、投資資金を踏まえ、希望に合った機器を選定しておくと良いでしょう。

・従業員採用



基本方針・コンセプト・事業計画などを踏まえ、共に働く従業員を確保します。仲介会社に依頼しておくと、求人募集の問い合わせや履歴書受付・書類選考・面接会場・面接日設定・採用・不採用など一連の流れをサポートしてくれます。

・保健所の検査



内装工事、調剤機器類が納品されると、保健所から薬局の衛生面を確認する検査が行われます。スケジュールは管轄の保健所によって異なります。

この時点で医薬品や備品が揃っていなくても問題はありません。しかし、調剤薬局を経営する上で必要な調剤機器類は揃えておかなければなりません。

・開設届・保険指定申請書の提出



薬局開設許可証が届いたら、厚生局に開設届や保険指定申請書を提出します。保険薬局指定のためには、この保健指定申請書の提出が必要不可欠です。保健所からの許可が下りると、一般薬局として営業できるようになります。

保健指定を受けるまでは、調剤薬局としての営業ができないため、保険調剤等の看板や掲示物も避けなければなりません。保険指定は毎月1回、1日に行われます。

■M&A(事業譲渡)開業するケースも



そもそも、調剤薬局を開業する際には、どのような形で開業するのかをまず決めていく必要があります。というのも、薬局はゼロから立ち上げる開業方法のほかに、院内から院外への切り替えで開設するケース・新たに医療機関を開業する医師とともに開業するケース・M&Aで事業承継して開業するケースなど、様々なパターンがあるからです。ここでは、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。

・ゼロから新規開業するケース



調剤薬局をゼロから新規開業することで、仕事の自由度や年収が上がります。薬剤師として既存の薬局に雇用されている場合では、定年退職や転勤などを避けては通れませんが、そういった点も避けられるため、メリットは大きいです。

一方、経営に関するノウハウに乏しいと、事業収入が伸び悩む可能性があります。最悪の場合、厚生年金や退職金がなしになってしまう恐れもあるでしょう。そのため、経営戦略と経営に関わるノウハウを身に付けることが1つの鍵になります。

・院外から院外への切り替えで開設するケース



院外への切り替えで薬局を開設する場合、その時点で既存の患者さんが多く、数字の読みやすさや立ち上がりの早さがメリットだと言えます。そのため、初期投資回収の目途も立ちやすいでしょう。

ただ、医薬分業率は近い将来80%を超えるだろうと言われており、院内から院外へ切り替えするケースそのものが少なくなっていることも実情です。院外への切り替えで薬局を開設したいと思っていても、それを検討している医師を探すのに苦労する可能性が高いです。

・新たに開業する医師とともに薬局を開業するケース



新たに開業するクリニックや医療機関とダブル新規開業するケースでは、医師と共に思い描く医療提供を目指せる点が大きなメリットです。立ち上がりがスムーズにいけば、初期投資も抑えられ、地域医療を支えていくことができます。

しかし、その分開業後の赤字期間についても見据えておかなければなりません。調剤薬局開業成功のポイントは、赤字期間をいかに短くできるかだと言われています。多くのクリニックや医療機関は、全体の約3割が赤字だと言われているため、慎重に判断する必要があります。

・M&Aを利用して開業するケース



M&Aの仲介会社を通じて、調剤薬局の売却を考えているオーナーを紹介してもらい、事業承継する形で開業するケースです。ゼロから新規開業するよりも費用がかからず、既存の患者さんが多いため、経営の見通しが立てやすく、資金調達もしやすい点がメリットです。

ただ、M&Aを利用して独立する場合、営業権・仲介手数料・薬剤購入費がかかるため、その点については事前によく理解しておく必要があります。また、売却を検討している薬局の中には、営業利益が低く、その時点で経営難に陥っているケースも少なくありません。最適な形で引き継げるかどうかも、経営を続けられるかどうかの重要なポイントです。

■新規開業とM&Aで事業承継開業する場合とで初期費用は異なる



続いて、初期費用について解説していきます。初期費用は、当然ながら新規開業とM&Aを利用する場合とで異なります。

【新規開業にかかる初期費用】



新規開業にかかる初期費用としては、店舗関連費・薬剤購入費・人件費・広告宣伝費・運転資金などです。既存店舗を活用して独立する場合でも、保証金や内装などの費用がかかります。

・店舗関連費

店舗関連費には、立地や店舗の大きさなどの内容によって支払う保証金をはじめ、外装・内装工事費や設備搬入などの費用がかかります。店舗関連費は、保証金と別にしても外装・内装工事費と設備搬入に約500万円~1,000万円かかると言われています。ここの保証金が加わると、費用は約500万円~2,000万円が目安です。

・調剤機器・薬剤購入費

薬局に必要な調剤機器や、取り扱う医薬品の購入費用です。調剤機器としては、レセコンや電離薬歴・分包機・保冷庫・調剤棚・POSシステム・各電子機器(電話・FAXなど)などが必要です。医薬品は、患者さんのニーズや店舗の規模に合わせて、十分な医薬品を仕入れなければなりません。

調剤薬局はリース契約で賄うことも可能です。リースの場合、約200~400万円程度の費用がかかります。また、医薬品の購入費は約200~500万円が目安なので、計400~900万円程かかることになります。

・広告宣伝費

集客のための広告宣伝費には、約10万円~20万円がかかります。宣伝広告費は、ただ患者さん向けの広告を出すだけでなく、他の薬剤師や事務スタッフなどの採用募集を行うための広告も必要です。

・運転資金

社会保険料や労働保険、従業員の給与などの人件費、家賃や光熱費など、調剤薬局の経営には様々な費用がかかります。調剤報酬のタイムラグがあるため、それを計算して余裕を持って資金を準備しておく必要があります。

【M&Aでかかる初期費用】



M&Aでかかる初期費用としては、先にも紹介したように営業権・仲介手数料・薬剤購入費などが代表的なものとして挙げられます。

・営業権

営業権は、「のれん代」と呼ばれるもので、薬局時代の事業価値を価格に表したものです。額は最終譲渡契約書に記載されます。譲渡したいオーナーと、開業したい譲受側との話し合いで決定しますが、一般的なのは営業利益の3年~5年分となっています。

・仲介手数料

仲介会社に支払うのがこの仲介手数料で、会社によって金額は異なります。成果報酬型・中間手数料などが必要な所もあるので、事前に確認が必要です。

・薬剤購入費

既に在庫として所有している医薬品を購入する場合、オーナーと交渉して購入費用の何%という形にして支払います。棚卸を行ってそれぞれの医薬品の数量を決定した上で、双方で合意した金額を受け渡すのが一般的な方法です。

・固定資産

M&Aを利用して調剤薬局を経営する場合、土地や建物、レセコンをはじめとする機器や備品などの固定資産がかかります。不動産は、オーナーが所有権を持ったまま譲渡するのか、オーナーが引退する形で譲渡するのかによっても異なります。

・運転資金

毎月の給与の支払いや物件賃料支払いなど、事業経営を存続させるためには、ある程度余裕を持った運転資金を用意しておく必要があります。

■調剤薬局開業・独立ならアテック・ファーママーケットへ



調剤薬局開業・独立を目指しているなら、M&Aで事業承継するのも選択肢の1つです。そんなM&Aの仲介会社として調剤薬局の事業承継をサポートしているのが、アテック株式会社です。ここでは、アテックの特徴や、アテックが運営しているファーママーケットについてご紹介します。

アテック



アテックは、薬局経営総合支援を行う、日本初の調剤薬局M&A専門会社として設立しました。薬局を承継したいオーナーと、新規開業・独立したい経営者や薬剤師をマッチングし、双方が満足のいくM&Aができるようサポートしています。

アテックには実際に調剤薬局で活躍していた経営経験者や薬剤師がおり、調剤薬局業界について深く理解しているからこそ、オーナーや承継者の立場となって最善の形を実現できるよう努めています。そのため、売り手も買い手も満足できるM&Aが叶うのです。

ファーママーケット



アテックは、ファーママーケットを運営しています。ファーママーケットとは、既存の調剤薬局を売却したいオーナーと、買収したい経営者や薬剤師とをマッチングするサイトです。調剤薬局は、近年引退したいオーナーはもちろん、既存の薬局を買収して自らの手で運営したい経営者・薬剤師が増えてきています。そのため、双方をマッチングすることで、より良いM&Aが実現できるようマッチングサイトの運営を行っているのです。

調剤薬局のM&A専門会社として、長く活躍してきたアテックには、満足のいくM&Aを実現させる自信があります。調剤薬局の開業や独立を考えている方は、M&Aを通じて理想の調剤薬局経営を実現してみませんか?ぜひ、お気軽にご相談ください。

今回は、調剤薬局を開業したい・独立したい方向けて、開業の流れや必要な手続き、初期費用などについてご紹介しました。近年はM&Aを通じて新たに調剤薬局経営をスタートする方が増えてきています。

少しでも初期費用を抑えたい方・既存の店舗を活用することで患者さんの確保や経営の見通しなどのリスクを軽減させたい方、既存の調剤薬局で地域医療を支えていきたい方などは、M&Aでの独立が適しています。M&Aを検討される方は、ぜひアテックまでお問合せください。
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