近年、コロナ禍の影響もあり、倒産を余儀なくされてしまう調剤薬局が増えています。それ以前も、薬価の引き下げなどの影響によって倒産してしまうケースもありました。しかし、それとは比べ物にならないくらい、コロナ禍の影響で倒産している調剤薬局は多くなっています。

今回は、調剤薬局の経営構造と経営課題、コロナ禍で相次ぐ調剤薬局の倒産の理由、調剤薬局が生き残るためにすべきことを解説していきます。調剤薬局の経営が危ぶまれる状況になり、何とか抜け出したいと考えているオーナーは必見です。

■調剤薬局の経営構造と経営課題について



はじめに、調剤薬局の経営構造と経営課題からみていきましょう

調剤薬局の売上を構成しているのは、技術料と薬価差益の2つです。技術料は、調剤技術料(調剤基本料+調剤料+加算)+薬学管理料から成り立っていて、地域支援体制加算やハイリスク加算などの加算によって変動します。薬価差益は、薬の仕入れ価格と販売価格の差で生まれる利益ですが、薬価の改定や消費税増税の影響を受けるので大きな利益は望みにくくなっています。

売り上げだけではなく、経費についても把握しておかなければいけません。調剤薬局の経費の中でも特に大きな割合を占めているのは、薬剤購入費、家賃、人件費の3つです。在庫管理が甘いと購入費がかさんでしまいますし、人員確保が上手くできないと特定のスタッフに大きな負担がかかってしまいます。家賃は変動がない固定費で、高ければ高いほど利益は少なくなってしまうので、売り上げなどとのバランスを加味した物件選びが重要です。

調剤報酬が改定は調剤薬局に大きな影響を与える出来事です。調剤報酬の改定は2年に1回というスパンで行われています。改定により、調剤基本料や技術料など調剤薬局が得る報酬は右肩下がりになっているのです。

経営を続けることが難しくなった調剤薬局は、倒産や廃業を余儀なくされます。しかし、国が必要としているかかりつけ薬局としての機能を発揮できるのであれば、安定的な報酬が期待できます。つまり、既存のやり方から新しいやり方へと変化していけるかどうかがポイントになるのです。

また、後継者不足に関しても調剤薬局の重要な課題だと言えます。医薬分業により、ここ30年ほどで新たに開設された調剤薬局の数は非常に多いです。その当時からオーナーとして経営を行っている人は、60台以上の高齢者であるというのも、調剤薬局業界にける大きな課題だと認識されています。

中には、しっかりと後継者の育成ができている調剤薬局もあります。しかし、個人で経営している場合はご子息に継ぐ意思がなかったり、そもそも引継げるような人がいなかったりするケースも珍しくありません。そのような場合は、M&Aで売却するか閉業するといった決断をしなければいけないのです。

■コロナ禍で相次ぐ調剤薬局の倒産や閉業!その理由とは?



調剤薬局の倒産や閉業は、コロナ禍になって相次いでいます。続いては、なぜ倒産や廃業が相次いでいるのか、その理由についてみていきましょう。

薬剤師が不足している



1つ目は、慢性的な薬剤師不足や薬剤師の偏りです。近年、大手調剤薬局チェーンの新卒大量採用や薬局を併設したドラッグストアの台頭などにより、中小規模の調剤薬局は薬剤師の確保に苦戦しています。薬学部が6年制になったことで、薬局の増加に薬剤師の数が間に合っていないという現状もあります。

薬剤師が不足してしまうと、調剤薬局は日々の業務で手いっぱいになってしまい、国が必要としている業務まで手が回らなくなってしまうのです。さらに、コロナ禍における受診控えや処方箋枚数の減少などにより、大手調剤薬局から小規模な調剤薬局まで採用への意欲も下落傾向となっています。一方で、薬剤師不足で悩んでいる調剤薬局も多いので、薬剤師の確保は難しい課題だと言えるでしょう。

ドラッグストアは、利便性の高さからコロナ禍になってよりニーズが高まりました。調剤薬局を併設しているドラッグストアの数は非常に多くなっており、保健調剤だけで勝負している中小の調剤薬局の勝ち目はほぼありません。大手の方が高い時給を出せるなどの違いもあるため、必然的に中小の調剤薬局は人手不足になってしまいます。

もちろん、ドラッグストアの増加が調剤薬局の倒産に直接的な原因をもたらしている訳ではありません。しかし、コロナ禍ということもあり、影響がダイレクトに及んでいる可能性を否定することはできません。

コロナ禍で薬剤師自身や家族が感染したり、濃厚接触者になったりすることにいり、出金できなくない状況に追いやられてしまうことも薬剤師不足を加速化させる原因のひとつです。学校や保育所で感染が拡大して子どもを家で見なければいけないという理由から、仕事を休まなければいけない状況になっているケースも多いです。薬剤師不足で悩んでいる中でさらなる追い打ちをかけられるような状況だと言えるでしょう。

受診控えによる経営悪化



2つ目は、受診控えによる経営悪化です。調剤薬局は、患者様が病院から処方箋を持ってくることによって経営が成り立っています。しかし、医療機関の受診から新型コロナウイルスに感染することを恐れ、受診控えが目立つようになってきました。

以前と比べると2022年の時点ではそこまで目立たなくなっています。それでも、国内に感染者が爆発的に増えていた時期は、普段なら混雑している病院でも待合室がガラガラになってしまうほど受診控えの傾向が強まっていたのです。

調剤薬局の売上は、前述したように技術料と薬価差益の2つで成り立っています。そのため、処方箋の枚数が減るとダイレクトに売上に影響を与えてしまいます。大幅に減ってしまえば、経営難に陥ってしまい、倒産を余儀なくされる可能性もないとは言い切れません。

■調剤薬局が生き残るためにはどうすべきなのか?

コロナ禍で厳しい状況になっている調剤薬局も少なくありません。ウイルスを私たちの力で弱体化さえたり、抑え込んだりすることは不可能です。そのため、自分たちでできる打開策を考えなければいけないということになります。

そこで続いては、調剤薬局が生き残るためにすべきことについてみていきましょう。

オンライン服薬指導や薬の配達を取り入れる



新型コロナウイルスの影響によって経営状況が悪化しているなら、新しい試みを始めるのがおすすめです。社会情勢を加味して考えると、オンライン服薬指導や薬の配達を取り入れるのが得策だと言えます。感染リスクを抑えるために、できるだけ対面で服薬指導を受けないようにしたいというニーズも高まっているので、需要は高いと想定できます。

オンライン服薬指導は、スマートフォンやパソコン、タブレットなどを使い、画面越しに服薬指導をする方法です。希望する人には薬を郵送するというサービスも盛り込めば、利用したいと考える人は増えると予想されます。医師が対応可能であれば、オンライン診療もあわせて行うとよりスムーズに薬を手元に届けられるようになります。

24時間対応できるような体制を整える



コロナ禍であれば特にそうですが、相談先に悩んでしまう人は少なくありません。医療機関がひっ迫している現在、相談できない気持ちを助長させている状態です。そのような時に、いつでも相談できる場があると安心感につながります。

何かあった時すぐ相談できる窓口としての役割を調剤薬局が担えば、心の拠り所として利用してくれる人も増えるでしょう。コロナ禍に限った話ではなく、調剤薬局が健康相談ステーションとしての役割を担うことも重要視されつつあります。健康相談ステーションというのは、厚生労働省が打ち出した「患者のための薬局ビジョン」に盛り込まれている健康サポート機能、高度薬学管理機能、服薬情報の一元的・継続的把握、24時間対応・在宅対応、医療機関などとの連携という5項目に含まれているものです。

健康相談は多岐にわたり、患者様の健康状態に関する冊子を作ったり、多く寄せられる相談と回答をまとめたポスターを作ったり、といった方法が考えられます。患者様が定期的に足を運び様な調剤薬局であれば、市販薬や健康食品などの対面販売で利益を高めることもできます。

最近は、高齢者の増加から薬剤師や調剤事務として働いているスタッフが介護に関する資格を取得するケースも増えているのです。ケアマネジャーの資格を取得すれば、介護に関する幅広い相談を受けられるようになります。介護認定を受けるための窓口がわからない高齢者も多いため、身近な窓口として調剤薬局は機能する可能性が高いです。

在宅医療に対応できるようにする



在宅医療に対応できるようにすることも、今後生き残っていくためのポイントとなります。高齢化が進むことによって、医療機関や薬局へ足を運ぶことが難しくなる人が増えると考えられます。そのため、医師などと連携して在宅医療に対応できるような環境を整えていくことも検討すると良いでしょう。

高齢化によって処方箋の枚数が減少し、居宅療養管理指導のニーズが増加すると想定できます。居宅療養管理指導は、要支援もしくは要介護と認定されて通院が難しい人を対象としたサービスです。医師、看護師、管理栄養士、歯科衛生士、薬剤師などが自宅を訪問し、住み慣れた自宅で生活を継続できるようにアドバイスをするという取り組みです。

2020年12月の介護報酬改定に向けた介護給付費分科会においては、感染症や災害に対する対応力の強化や地域包括ケアシステムの推進、介護人材の確保・介護現場の革新、制度の安定性・持続可能性の確保、自立支援・重症化防止の取組の推進という5つの柱が打ち出されました。それに伴って、居宅療養管理指導の何らかの変更が出ると考えられています。

M&Aを検討する

調剤薬局が倒産してしまうのは、経営難に陥ってしまうケースが大半を占めます。経営難に陥ってしまう原因は様々ですが、最悪の事態になる前に対応できる可能性もあります。それがM&Aという方法です。

調剤薬局は、後継者問題などを理由にM&Aを検討するケースが増えています。M&Aは買い手側にも売り手側にも大きなメリットがあります。後継者候補が見つからない時などはすぐにM&Aにとりかかろうとするケースも珍しくありません。薬剤師を確保したい、営業エリアの拡大したい、と考えている大手調剤薬局から買い取ってもらえる可能性もあります。

ただし、M&Aにはデメリットもあります。買い手側にとってのデメリットは、簿外債務などマイナスの財産まで引き継がなければいけない点です。売り手側にとってのデメリットは、買い手次第で外部からの印象や働いているスタッフへの処遇が変わる可能性があるという点です。

調剤予約システムを取り入れる



調剤予約システムを取り入れるのも、生き残るためにおすすめしたい方法です。調剤予約システムは、服薬指導を対面で受けたいが、待合室での感染リスクが高まりが不安だと感じる人向けのサービスです。受け取った処方箋をスマートフォンで撮影して専用のアプリなどで調剤薬局に送るだけで簡単に予約できます。

薬ができたという通知があったタイミングで受け取れば良いため、待合室で待機する必要はありません。人がいる場所に滞在する時間を極力短くできる方法です。患者様の不安軽減にも一役買うシステムです。

■調剤薬局M&Aを考えているならアテックへ!



経営が厳しい状況になってしまうと、倒産しか選択肢がなくなってしまう可能性が高いです。しかし、薬剤師不足や後継者問題などが浮き彫りになってきた段階でM&Aを検討すれば、生き残れる兆しも見えてくるはずです。もしも、調剤薬局のM&Aを考えているなら、ぜひアテックまでご相談ください。

アテックは、1991年に創業した会社です。日本初の調剤薬局専門のM&A仲介会社として事業をスタートしました。創業してから現在に至るまで、多くの実績を残しています。

そんなアテックが運営しているファーママーケットへの登録も前向きに検討してみてください。ファーママーケットは、調剤薬局のオーナーと次期オーナー候補となる人材を結び付けるマッチングです。これまでに培ってきたノウハウを活かしたサポート体制が整っているため、理想的なM&Aを実現しやすくなっています。

今後のことを考えた時に倒産という文字がよぎる場合は、生き残るための方法であるM&Aを検討し、適切なアドバイスができるアテックまでお気軽にお問い合わせください。倒産を回避するために必要なアドバイスや提案をさせていただきます。
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