調剤薬局の数はコンビニエンスストアを上回ると言われていますが、実際に身近な場所でも多く見つけることができます。そんな調剤薬局業界の成長は目覚ましいものですが、地域によっては減少傾向にあるところも少なくありません。そのため薬局経営者で将来への不安を抱えている方も多く、既に利益を上げることも難しくなっているのが実態です。

調剤薬局業界を取り巻く環境と課題とは、どのようなものなのでしょうか?今回は、そんな薬局経営における経営課題や対策方法をご紹介します。実際に現在薬局経営の課題に直面されている方はぜひ参考にしてみてください。

調剤薬局業界が抱える課題とは

経営者が抱えている、調剤薬局の課題として、後継者問題や調剤報酬の厳しさなどが挙げられます。ここでは、その内容を詳しく見ていきましょう。

後継者問題



まずは、後継者問題です。これまでは、地域にある個人経営の小さな薬局の場合、家族や親族などを後継者にするケースが大半でした。

しかし、最近は薬局の財務状況や店舗展開が厳しく、後継者がいないケースも少なくないのです。特に中小企業の経営者の高齢化が進んでいることで深刻化している課題です。

近年は、ドラッグストアや大手薬局チェーンの拡大が活発になり、処方箋が他の薬局に流れてしまい、経営状況が厳しくなっていることも追い打ちをかけています。薬学部は現在6年制となっていますが、薬学部の店員自体は増えていて、薬剤師の人数そのものは増えていると言われています。

しかし、それ以上に調査薬局の店舗数が多く、慢性的な薬剤師不足が続いているのです。そのため、ますます後継者問題で頭を抱える経営者が増えています。

調剤報酬が厳しい



度々行われる診療報酬改定によって、調剤報酬の引き下げが大きな影響を与えています。これは、医療費の透明化と患者負担額軽減のために行われているもので、2年の1度のペースで調剤報酬の改定がされています。調剤報酬改定により、薬局の売上や調剤基本料などの報酬点数は少しずつ減っているのは深刻な課題です。

特に最近では患者の高齢化が進んだことで医療費の増加を抑えるべく、経営者側にとって厳しい改定が行われている点も問題視されています。これまでは厳しいとはいえ大手や中堅の薬局が対象になるものばかりでしたが、今後は中小企業の薬局にも厳しい改定がされるのではないかと言われているのです。

また、国は調剤薬局にかかりつけ薬局の促進を働きかけており、残業確認・服薬指導などそれぞれの項目も調剤点数として影響するようになっています。業務が増えたために、業務の率化を図って生産性を高めていかなければならず、今まで以上に薬局経営は厳しい状況になると考えられています。

対人業務の質向上



国は、薬剤師に対し適切な薬物治療の提供や医療費削減に担い手としての役割を求めています。例えば、2019年4月には厚生労働省より「0402通知」が出されており、「調剤薬局事務員が調剤補助業務を実施して、薬剤師がより対人業務に専念できる環境」を推奨していることがわかりました。このように、薬剤師は今後これまで以上に服薬指導や訪問調剤などに力を入れていくべきだと考えられています。

しかし、対人業務に対する評価や調剤薬局業界全体の質向上なども課題として挙げられます。どの薬局でも、同じように対人業務の質を向上させた状態で提供できるのか、そのためにどうすれば良いのかを明確化していく必要があるのです。

調剤薬局業界は今後どうなっていく?

様々な課題がある中で、今後の調剤薬局業界はどうなっていくのでしょうか?国は大手や中小に関わらず、すべての調剤薬局を2025年までかかりつけ薬局にするよう提言しています。かかりつけ薬剤師という体制が構築できれば、より適切な薬学的管理や情報提供、在宅医療など多様な処方箋にも対応できる基盤や取り組みが可能になると考えられています。そして、そのような地域医療に貢献できる調剤薬局だけが、今後は生き残っていくだろうと言われているのです。

また、厚生労働省は患者のための薬局ビジョンを策定しました。この薬局ビジョンによれば、2025年を目途にして住まい・医療・介護・予防・生活支援などがすべて一体的に提供されるような地域包括ケアシステム作りをしていくことがわかっています。

中でも薬剤師に求められているのは、重複投薬や飲み合わせ確認・医師への疑義紹介・質の高い服薬指導・在宅対応への可能・副作用におけるモニタリング・医師へのフォードバック・処方提案・残薬調整など多岐渡ります。つまり、個人個人が地域支援体制加算を取得し、かかりつけ薬局を目指していかなければ、厳しい経営状況を打破することはできないということです。

今後の流れを先読みして、国の制作に則ったチャレンジや地域包括ケアシステム参画、医療機関や施設等などとの連携が重要になっていくでしょう。患者に向き合いながら、質の高い医療を提供する調剤薬局であり続けようと努める姿勢は不可欠です。薬局経営の課題対策 薬局経営において有効な課題対策としてはどんなことが挙げられるのでしょうか?経営課題はその薬局によって変わってきますが、共通の解決策として以下の項目が有効とされています。

在宅医療の充実



まずは、在宅医療の充実です。国がかかりつけ薬局を推進しているように、地域活動を積極的に行うことで今の状況を変えられる可能性があるからです。

今後は外来の処方箋はもちろん個人在宅や施設住宅等に出向き医療貢献すれば、より多くに処方箋を扱えるようになります。在宅医療の充実は、医療費の削減にも貢献できるため、患者にとっても経営者側にとっても大きなメリットとなります。薬局・地域・行政などと連携して、医療系のイベントや勉強会などを開催すれば、多業種との協働もしやすくなり、地域一体の活動が可能です。

ICT導入



国が掲げた薬局ビジョンには、服薬情報の一元化や継続的把握などにはICTを導入した体制が活用するべきと提言しています。特に電子薬歴は主流として、調剤支援・医薬品管理などをAIで行ったり、オンライン服薬指導や最先端技術を活用したりするなどの仕組みづくりが重要です。ICTを積極的に活用することで結果的に薬剤師の質を向上し、患者さんへの適切な医療提供ができるようになります。

残業の軽減



国の制作に則った働き方をしても、薬剤師の業務は多く、残業時間も長時間になってしまうケースが少なくありません。特に患者さんが営業時間のギリギリでやってくれば、閉めたくても閉められなくなります。その分対人業務が長くなり、在庫管理・書類整理などの雑務が終わると夜遅くなるといったケースは日常茶飯事なのです。

長時間残業の状態が続けば、いくら患者さんに質の高い医療を提供しようとしても徐々に疲労が蓄積され、パフォーマンスは下がってしまいます。できる限り残業時間を減らし、心身ともに健康な状態を維持できるよう努めていくことも重要な課題となります。

今後の対策としてM&Aが鍵になる

調剤報酬改定をはじめ、後継者不足などで経営が厳しい状況にある調剤薬局は多いです。薬局が生き残るための施策としては、医療機関との連携や地域医療に根ざした経営が重要と言われています。しかし、それ以上に今後はM&Aによる調剤薬局の譲渡・承継が鍵になってくると言われているのです。

調剤薬局はM&Aが活発化している



M&Aというと、IT企業をはじめとする最先端技術に富んだ大手企業などをイメージする方も多いでしょう。しかし、実際はM&Aを活発に行っているのは調剤薬局業界が最も多いことがわかっているのです。では、なぜ調剤薬局のM&Aが活発化しているのでしょうか?

調剤薬局は、どのような立地にあるかが売上や事業成長に関わるため、近隣に医療機関や施設などが充実していた方が良いとされています。そのため、新しい土地に新店舗を構えるよりも、医療機関や地域との関係性が構築されている既存の店舗の方が効率的なのです。調剤薬局のM&Aが活発なのは、こうした背景が大きく関係しているからです。

そもそもM&Aは、売り手側はもちろん買い手側のどちらにも多くのメリットがあります。調剤薬局間の競争激化や薬剤師不足、利益圧迫などを解決するために、M&Aは多くの経営者に選択されている方法の1つになっています。

高齢化と薬剤師不足を解決する最善の方法



高齢化が進んで、受療率も上がっている状況の中でも、医療機関と同様に薬局は地域にとっては必要不可欠な存在です。厳しい状況の中で生き残っていくためには、タイミングを見計らってM&Aを検討することも賢明な決断となります。

国もまた、医療費を抑制するために施策を講じているため、今後も調剤報酬は引き下げされる可能性が高いでしょう。特に中小企業は影響を受けやすく、現時点では問題なかったとしても、今後は経営を圧迫される状態に陥るかもしれません。

さらに近年の慢性的な薬剤師不足も深刻な課題です。大手企業や中堅企業ならまだしも、中小や個人で経営しているような調剤薬局の場合、薬剤師を募集しても担い手が見つかりにくく、後継者を探すのも難しくなっています。事業を売却することによってリタイアしたいといった経営者がいる一方、経営者として活躍していきたいと考えている薬剤師もまた少なくありません。

M&Aであれば、事業規模の大きな調剤薬局の売却後に薬剤師を派遣してくれるため、薬剤師不足も解決できます。M&Aは、こうした双方の要望を叶えることができる方法であり、その要望をどこまで叶えられるかが成功を左右するポイントになります。高齢化と薬剤師不足は、今後も続いていくことが考えられており、将来的な不安を抱えている方にとっては最善の方法となっているのです。

大きな決断だからこそ仲介会社を活用すべき



現在、調剤薬局業界では大手のシェアが約1~2%程度で、ドラッグストア業界よりもまだまだ少ないのが実態です。そのため、今後は大手のシェアが加速し、M&Aもこれまで以上に活発化するのではないかと考えられています。

とは言っても、M&Aはこれまで続けてきた事業を売却して手放すということであり、非常に大きな決断となります。また、買い手側にとってもそれは同様で、既存の店舗を買収するリスクが伴うため、決して安易に決断できないものには変わりありません。

売り手側にとっても買い手側にとっても賢明なのは、M&Aを成功させるためのパートナーを見つけることです。パートナーというのは、M&Aの仲介会社で、M&Aのプロでもあります。様々な事例をM&Aで解決しているため、実績も豊富で経営者の要望を叶えてくれる可能性が高いでしょう。

中には調剤薬局に特化したM&Aを行っている仲介会社もあります。こうしたところを利用すれば、納得のいく決断がしやすくなるため、薬局経営で不安がある方や、将来を見据えた相談がしたい方にもおすすめです。

薬局M&Aを考えているならアテックへ

アテック株式会社は、国内初となる調剤薬局専門のM&A専門会社です。薬局経営総合支援として設立当初からM&Aに特化したサービスを提供しており、売り手側と買い手側の想いに寄り添った提案をしています。

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国内初の調剤薬局M&A専門会社ということもあり、多くの後継者候補が登録しているため、自分の想いに共感して引き継いでくれるような相手を見つけられる可能性も高いです。調剤薬局経営経験者や薬剤師がスタッフとして活躍しているため、誰もがM&Aを行って良かったと思えるような「ハッピー・リタイア」を実現しているのです。

また、アテックが運営するファーママーケットは、売り手と買い手をマッチングできるサイトとなっています。どのような形でのM&Aを希望しているのか、事業規模はどのくらいなのかを事前に把握できるため、どのような方が登録しているのかを確認することもできます。薬局経営に不安を抱え、M&Aを検討している方は、ぜひアテックまでお気軽にご相談ください。
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